手応えと悔いの残るドロー。

大宮アルディージャを終始圧倒しながら、最後まで逆転ゴールを奪うことができなかった。

スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から西久保駿介、チャン ミンギュ、新井一耀、秋山陽介の4人。中盤は中央に熊谷アンドリューと田口泰士、右に風間宏矢、左に見木友哉が位置し、2トップには櫻川ソロモンとブワニカ啓太が並んだ。

キックオフ直後こそボールが落ち着かない時間が続いたが、8分、西久保のサイドチェンジを受けた秋山がクロスをいれて櫻川がシュートを放つと、このプレーを機にジェフが流れを引き寄せた。

直後の9分にはチャンの縦パスを起点にコンビネーションで相手を崩し、最後は風間が左足ミドルシュート。14分には左から突破を試みた見木がチャンスを作った。明らかにジェフが主導権を握った時間帯だった。

ところが17分、この試合で初めて与えたCKから新里亮にヘディングシュートを決められて先制点を奪われる。最終的にはこの失点が結果に響く形となったが、尹晶煥監督は失点後の試合運びについて評価した。

「後半戦スタートから勢いをつけるためのいいきっかけになればと思って試合に臨みましたが、先に失点してしまったことで少し難しい展開になってしまいました。ただ、その後は落ち着きを取り戻して同点ゴールを奪うことができました」

その言葉のとおり、ジェフは失点後もペースを落とすことなく攻勢を強めた。23分には西久保の鋭いクロスから見木が決定機を迎えたが、コントロールミスからシュートには至らず。サイドチェンジと最終ラインからの縦パスを使い分けながら、相手を押し込んでシュートチャンスを作ろうとする時間が続いた。26分には新井一耀のサイドチェンジから風間を経由して田口がミドルシュート。32分、33分とCKを獲得するなど、ボールを握り、サイドを変えながら押し込んでチャンスを作った。

そうして迎えた前半終了間際の44分、左サイドの秋山が思い切りのいいランニングで相手最終ラインの背後に抜けると、その動きを合図としてパスをつなぎ、前を向いた見木がクロス。ゴール前に走り込んだ櫻川がヘディングシュートを放ち、理想的な時間帯に同点ゴールを奪った。

ハーフタイム、尹監督はサイドチェンジに対する指示を次のように送っている。

「前半は左サイドからの攻撃が多かったのですが、右サイドへのサイドチェンジを使いながら、もっと相手の背後に進入しようという話をしました。相手に対して体力的な負担をかけるためにも有効なサイドチェンジが必要です」

後半もジェフが主導権を握り続けた。

48分にはCKからのチャンのヘディングシュート。59分には大宮の大山啓輔にミドルシュートを放たれたもののペースを失わず、60分には右サイドから風間がクロスを放り込み、見木が落として田口がミドルシュートを放った。66分には最終ラインから新井一耀がスルーパス。ブワニカの頭にはわずかに届かなかったが、可能性を感じさせる攻撃だった。

攻めるジェフ、構える大宮という構成のまま70分を過ぎると、両チームの指揮官が交代策に打って出た。71分に2人を代えた大宮に対し、ジェフは75分、風間と秋山に代えて高木俊幸と福満隆貴を投入。さらに81分には西久保と櫻川に代えて矢口駿太郎と佐久間太一を送り出し、さらに圧力を強めて相手を押し込んだ。

アディショナルタイムに入ると立て続けにCKを獲得。ホームの圧倒的な後押しの中でゴールの機運が高まったが、しかし最後まで追加点を奪うことができず、試合はそのまま1-1で幕を閉じた。

チャンが言う。

「複数失点しないことはとてもいいことだと思います。ただ、無失点で終えることを目標としているので、次の試合はそれを実現したいと思います。最近は負けなしを続けていますが、次もホームゲームなので、何としても勝てるように準備したいと思います」

終始攻勢に進めた試合運びを考えれば、勝点3がほしいゲームだった。それでも櫻川が言うように「失点しても取り返せるチームになったということはすごく大きい」。次節もホームゲーム。手応えを確信に変える勝点3を奪いたい。