セットプレーから3得点快勝！

FKから1発。CKから1発。PKで1発。すべてのゴールがセットプレーから生まれたものだったが、90分間を通しての内容はパーフェクトに近い出来だった。

スタメンは前節と同じ4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から西久保駿介、チャン ミンギュ、新井一耀、秋山陽介の4人。中盤は中央に熊谷アンドリューと田口泰士、右に風間宏矢、左に見木友哉が位置し、2トップには櫻川ソロモンとブワニカ啓太が並んだ。

立ち上がりの3分こそ相手にボールを握られたものの、ジェフは6分、この試合最初のチャンスをゴールにつなげた。右コーナー付近からの田口のFKに合わせたのは新井一耀。ニアサイドに飛び込み、得意のヘディングシュートでゴールネットを揺らした。

新井一耀が振り返る。

「準備してきた形だったし、事前の分析で「あそこを狙っていこう」という話はありました。練習から（田口）泰士くんの質の高いボールが飛んで来ていたので、信じて走るだけというか、あのシーンについては泰士が蹴った瞬間に「入る」という感覚がありました。あとはしっかり頭に当てて、振り過ぎないことを意識するだけでした」

この先制点によって精神的な優位に立ったジェフは、4-4-2のブロックで相手のビルドアップを封じながらチャレンジングな守備でボールを奪い、再三にわたってチャンスを作った。

新井一耀が続ける。

「前線の選手がかなりボールにチャレンジしてくれるし、前から限定してくれるので、後ろは“回収するだけ”という感覚でした。今はそこでハードワークできているから、いい守備ができていると思います。『相手がヴェルディだから』というやり方を準備したわけではなく、やるべきことは基本的には同じ。ピッチで判断して守備の強弱をつけることができていると思います」

18分にはブワニカのポストプレーから熊谷、見木とつないで左サイドに起点を作り、裏に抜けた秋山を使ってクロス。櫻川がヘディングシュートでゴールを狙った。さらに20分には右サイドからクロス。見木、櫻川とつないでブワニカがボレーシュートを放つなどチャンスが続く。先制ゴール以降に流れをつかんだジェフは、安定した守備で相手の進入を防ぐと、セカンドボールを拾って2次攻撃、3次攻撃につなげて主導権を握り続けた。27分には右サイドで獲得したFKから、再び新井一耀がヘディングシュートを狙った。

追加点は37分に生まれた。酷暑の中で両チームの足が止まった瞬間、タメを作った見木のドリブルに反応したのは秋山だった。フリーランニングで相手最終ラインの背後に抜けると、相手のファウルを誘ってPKを獲得。これを見木が冷静に沈めてリードを広げた。

秋山が振り返る。

「（見木）友哉にボールが入った際のオーバーラップやサポートの動きについては、こちら側に対する相手のマークの受け渡しがそこまでうまくできていない印象があり、そこをうまく狙いたいという話をしていました。ボールを簡単に中に入れられるシーンもありましたし、あえて入れずに、人数をかけながら細かくつないで崩していくシーンもありました。その使い分けはうまくできていたと思います」

迎えた後半、東京Vは2選手を交代して流れを変えようとしたが、開始直後の47分に勝負を決める3点目を奪う。田口のCKをフリーで待ち構えた風間がヘディングシュート。これはGKに弾き出されたものの、瞬時に反応した新井一耀が押し込んで再び歓喜の輪を作った。

リードを3点に広げたジェフは、守備意識を強めて試合を運び、切り替えのスピードや強度を落とすことなく相手の攻撃を跳ね返し続けた。攻撃時には積極的にパスをつなぐなど守勢に回らず、相手が4-4-2にシステムを変えても動じることなく冷静に試合を運んだ。70分には風間と秋山に代えて小島秀仁と矢口駿太郎を投入。システムを5-3-2に変更し、小島を3バックの右に、熊谷をアンカーに、田口と見木をインサイドハーフに据え、右のワイドに西久保、左のワイドに矢口という配置を取り、直後の75分には西久保に代えて福満隆貴を投入した。

82分には見木に代えて小林祐介、ブワニカに代えて高木俊幸を投入。アディショナルタイムに新井章太が退場処分となりチャン ミンギュがGKユニフォームを着る想定外のアクシデントもあったが、1失点に抑えて試合を締めくくった。

“アクシデント”以外はほぼパーフェクトなゲームだった。尹監督が言う。

「また連戦が始まりますが、引き続き、限られた人数でいい準備をしなければなりません。多くの皆さんの期待に応えられるように準備したいと思います」

次節は大分トリニータ、その次はアルビレックス新潟とアウェイでの連戦となる。ジェフが“いい流れ”を掴み始めた。