いよいよ2014年のＪ２リーグが始まった。両サイドバックが入れ替わり、新しいチームになったといっても過言ではないジェフ。注目のスタメンだが、 ＧＫ岡本昌弘、ＤＦは左から中村、山口智、大岩、天野、ダブルボランチが山口慶と佐藤健太郎、攻撃的ＭＦが左から山中、谷澤、田中、１トップがケンペスと いう布陣で臨んだ。
　開幕戦ということも手伝ったのか、立ち上がりは静かなものとなった。ホームのジェフが攻め込もうとしたものの、相手の栃木ＳＣも攻守の切り替えを早くし て対抗。特に、守備の際はゴール前をガッチリと固め、ボールを奪ったらシンプルに前線の瀬沼へ預けた。今年から栃木ＳＣの指揮を執るのは、現役時代、ハー ドな守備が売り物だったジェフＯＢの阪倉裕二氏。いかにも阪倉監督のキャラクターが浸透したチームに仕上げてきたといえる。

　一方のジェフだが、リスクを抑える立ち上がりだったことを差し引いても、やはりコンビネーション不足は否めなかった。何度か左サイドを中心に攻撃を仕掛 けようとしたが、特に前線で裏に出る動きが見られずパスの出しどころが少なかった。頼みのケンペスに対しても、相手のセンターバック２枚のみならずボラン チもケアしてきたことから、チャンスらしいチャンスをつかめずに時間が経過。ようやく17分、左サイドを中村が深く切れ込んで中央にボールを送ったが、最 後、ケンペスのオーバーヘッドシュートは枠をとらえられなかった。

　しかも、32分には痛恨の失点。相手の深いところから縦に出たロングボールに対し、瀬沼と競り合いながら山口慶が大岩に渡して処理しようとしたものの、 そのボールを瀬沼にさらわれて見事なループシュートを打たれた。瀬沼のスピードは圧巻だったが、それでも集中力を切らしてはいけない場面。結局、前半は ０－１のまま終了したが、見ていたサポーターもモヤモヤ感が残る前半だったのは間違いない。

　攻守ともにギアを上げなければいけない後半。鈴木淳監督も早めに交代のカードを切っていった。62分、谷澤に代えて森本を投入。ポスト役をこなせる選手 が増えたことにより、前線でボールが収まるようになった。それと同時に、中村、山中の左サイドコンビが機能し始め、前線にクロスが入るようになった。

　さらに74分、佐藤健太郎に代わって兵働が入ると、中盤から縦へのボールが入るようになった。攻撃のバリエーションが増え、徐々にジェフペースになったといえる。81分には田中に代えて大塚を送り出し、絶対に同点、逆転につなげるんだというメッセージが発された。

　しかし、肝心のゴールが入らない。アディショナルタイムには、左サイドの中村からゴール前へクロス。森本がタイミングよくジャンプしてヘディングでとらえたが、ボールは無常にもバーをたたいた。その直後にはカウンターを喫し、湯澤にゴールを決められて万事休す。

「（最初の）失点が問題。人は十分にいたし、対処できたはず。１点取られてしまったら、相手はブロックを作って守りきってしまう」（佐藤健太郎）

「失点の場面はボクのミスなので、みんなに対して申し訳ないです。それまでの流れは悪くなかったし、ミスがすべてだった」（山口慶）

　とディフェンス陣はショックを隠せなかったが、ムダな失点を防ぐだけではなく、攻撃面のコンビネーションを高めることも急務だ。自分たちの展開に持ち込 み、カウンターで追加点を奪った栃木ＳＣの戦い方を見て、ジェフの選手たちは何を感じたか。失った勝点３は取り戻せない以上、この敗戦から何を学び、すぐ に次の試合に生かせるかがカギを握る。とにかくホーム２連戦だけに、来週、同じ轍（てつ）を踏むわけにはいかない！