今日も大変な試合だった。下位に低迷しているジュビロは来季を見すえた戦いで、あまりプレッシャーがなかった。逆に、ウチは勝てば3位になるというプレッシャーから、特に最初は確実なプレーができなかった。最後までしっかりプレーして勝ったが、力がジュビロより上だったとはいえない。

─── 1年を終えた感想を、カップに入れた牛乳にたとえると。

シーズンを通して見た場合、最初にあった牛乳よりも残り少ないが現実。もちろん、他のチームもミスを犯す。しかし、ウチは勝つべきときに勝てない。そのミスのことをいっているのだ。特にジェフというチームは、相手が優位だと勝ち点をゲットし、勝たなければいけない試合やウチが優位といわれるゲームで勝ち点を失ってしまう。そういう中で、今日は結果が出た唯一の試合。それでも、こういう試合になると選手はミスを犯してしまう。ウチにもいい部分はあるが、大事なゲームで負担になってしまう面もある。何かが欠けているのだ。だからこそ、2位という順位には私自身が驚いている。ただ、この順位まできたのは、ジェフには何かがあるという証拠でもある。そして、この順位になっても、しっかり分析することが大切といえるだろう。

─── いつも以上に中盤を厳しくして、かつロングボールを多用したが。

知ってのとおり、ジュビロはボールを動かせるチーム。対してウチは、DF3人がボールをしっかりつなげないし、二人のFWもボール扱いがうまいほうではない。例えば巻は全力を尽くしているが、それでも巻は巻。すでに5人のハンディがあるのだ。8～9人がボールを動かせるジュビロに対し、同じことをするのは自殺行為。ただ、ウチの中盤は鋭いので、そこをしっかり抑えるようにした。

─── 大事なところでミスが多いということだが、2年間を通してみれば成長しているのでは。

私からはいえないし、それをいうのも好きではない。私は毎日チームと接しているから、成長しているのかどうかわからない面もある。確かに、チームは成長したかもしれない。ただ、2年間もやってきていれば、選手は監督抜きでも何かを学ぶでしょう。

─── 来季の契約を補うものがあるとすれば。

何かを補おうとするのなら、私は去ったほうがいい。

─── 社長は続投を臨んでいるようだが。

社長は社長であり、皆それぞれの考えがある。社長もいったことには責任があるのだろうが、今はそれくらいしかいえない。私は選手が一番大事だと考えている。コーチやスタッフというものは、選手が力を発揮できるように補助していくものだ。決して前に出てはいけないし、補助することで選手が成長するのなら、それは大変素晴らしいことだと思う。

─── サポーターからもオシムコールがあったが。

ただ、ジェフは勝ったり負けたりしてきたチーム。だからこそ監督を代えればいい。今はうまくいっているかもしれないが、うまくいかなくなったときにどうするかが問題。

─── 去年も似たようなことをいって最終的に2年目の指揮を執ったが、どんな条件ならOKなのか。

正直、私は年をとっている。もっと若ければ確実に監督を引き受けるだろう。今の仕事には満足しているし、日本の環境も素晴らしい。しかし、余命が短い中で、これからをどう生きるかが大切になってくる。正直、この2年間で約60試合してきたが、負けたのは10数試合しかない。連敗はないし、臨海でも1敗しかしていない。

（承前）ただ、この状況が続いたとしても、半年後にはダメになるかもしれない。私が人生で学んできたのは、いいときはいいということなんだ（笑）。プレッシャーの中、心臓にも悪い。これからは若い人間で平均年齢を下げてもいいんじゃないかな。そういう意味で目先にとらわれず、先を見ていく必要もある。

─── 今日で今季が終了したが、来週も練習試合で指揮を執る。続投の意欲の表れか。

私の契約は何日か残っているので、そこまではやるよ（笑）。

─── しつこいようだが、来季の監督をやらないという答えは出しているのか。

まだ決めていない。私が真っ先にいうとしたら奥さんだが、それも報告していない。何かを決めるというのは、決してシンプルではないもの。だれかはシンプルに決定できるかもしれないけどね（笑）。

─── 昨年のように向こうで結論を出すのか。

去年は向こうで考えたが、それは間違っていた考えだったよ（笑）。とにかく冗談もいってしまったが、サッカーとは真剣なスポーツ。だから、私も真剣に考える。ただ、一番厳しいときだから笑うんだけどね。

今日は巻がポストになって相手に勝っていたので、そのこぼれ球を狙っていた。ゴールはそのパターンだった。自分は前のポジションなので点が絶対にほしかったし、チャンスはあると思っていた。ゴールできてよかった。

もっと内容がよければよかったんですけど、まだ課題は多いですね。点を取られても追いつけたし、追加点を奪えたのは大きかった。

最後は戦術というよりも気持ちがみんな出ていた。相手よりも動きの部分ができていたし、ルーズボールにも一歩早く対応することができた。ただ、点を取るチャンスあったのに、3点目が取れなかったのは問題。天皇杯で負けたいたので、とにかく最後に勝てて本当によかった。

本当にケガをしちゃいけないと痛感。ここまでコンディションを戻すのにだいぶ時間がかかってしまった。今日は試合に入るとき、負けていたら点を取りにいこうと思っていたのですが、勝っていたのでディフェンス面で頑張りました。

最終戦で勝つことができたのはうれしいけれど、中盤の攻防で負けてしまったので残念。今日はまったく中盤が作れなかったと思う。そこが来年に向けての課題です。