13戦無敗の意味
2022シーズンのジェフが「やるべきこと」は、あまりにも明確だ。
継続と進化。
この時期によく見聞きするありきたりなフレーズだが、今のジェフにとっては、この言葉の向こうに広がる視界が例年とは比べものにならないほどクリアだ。もしも正しく「継続」し、正しく「進化」することができたなら――これはもう、マジであり得るかもしれないと、真剣にそう思っている人は少なくないに違いない。自分もその一人だ。
「継続」の源流は1年前にある。
「攻撃的な守備」を掲げた尹体制2年目の始まりは、手痛い取りこぼしが続いたことでいきなり心を折られかけた。しかし“矢野貴章対策”の成功を機に3バックへのシステム変更を決断すると、選手個々のキャラクターと「攻撃的な守備」はこの新システムでこそ最大値を発揮するという発見に至った。そこから流れが変わった。
もちろん、システムの“ハマり具合”だけで勝てるほどJ2リーグは甘くない。
第24節モンテディオ山形戦では再び心を折られかけたし、大量5得点の第35節東京ヴェルディ戦には味わったことのない爽快感があった。ジェフはそうして、チャレンジによる失敗と成功を繰り返した。そのたびに「ああでもないこうでもない」と議論を重ね、チームとしての練度を少しずつ高めていった。確固たる手応えはその先にあった。
ここで言う「手応え」とは、「こうやれば絶対に勝てる」という感覚であり自信のことだ。
システムは3-4-2-1。最大の武器は守備。敵陣で守るならコンパクトな陣形でハイプレスを仕掛け、自陣で守るなら5-2-3で低く構えてカウンターを狙う。最大の強みは相手を見る“眼”と、戦い方を選択する“判断力”。事前のスカウティングはもちろんだが、何より重要なのは、実際にピッチに立つ選手が相手の出方を見極め、こちらの出力をコントロールすること。選手の口から「ピッチの中で判断した」という言葉が頻繁に聞こえるようになったことが、用意した“型”にハメることばかりを意識していた尹体制1年目からの大きな前進を意味していた。
「内容はあるけど結果がない」ではない。「結果はあるけど内容がない」でもない。ピッチに立つ選手たちが感覚的に掴んだ“内容”がはっきりと存在し、そこに必然的な“結果”がついてきた。「13戦無敗」という記録をポジティブに解釈できる理由は、まさにそこにあった。