佐藤勇人Yuto Sato
川又堅碁Kengo Kawamata
得点源の1人として期待された男・川又堅碁が、ケガに苦しみ、ピッチを離れる時間が長く続いている。
オフィシャル誌『United #307』で佐藤勇人CUOに打ち明けた今の素直な気持ちを、
《ノーカット特別版》として再編集しここに掲載する。
(写真=千葉 格)
Vol.307JUL 2022
勇人 お! 堅碁! 早いじゃん!
川又 勇人さん、遅刻です。罰金500円!
勇人 安っ!
川又 ウソです。
勇人 いいんだよそういうのは(笑)。
川又 話せて嬉しいです。
勇人 こちらこそ。堅碁のことを心配している人はたくさんいると思うし、もちろん期待している人だってたくさんいると思う。だからこそ、今の素直な気持ちを聞きたいと思って。今回、堅碁と話すことになって、どこまで突っ込んで聞いたらいいのか自分でも迷った。でも、本当に、たぶんほとんどの人が「川又はどうしたの?」と思っているはずなんだよね。「こういう時に堅碁がいたら」と思うことだって正直ある。だから、今回は思い切って、今の素直な気持ち、それからケガの状況についても聞いてしまおうと思って。
川又 はい。ありがとうございます。
勇人 で、今の状態は?
川又 ぶっちゃけ、良くはないです。昨シーズンの開幕前に右足の脛腓靭帯をケガして、一度復帰寸前まで回復してたんですけど。カカトのところに骨棘(こつきょく)という角みたいな骨が生えているんですよ。それが練習中に、確か完全復帰する直前くらいの時期だったと思うんですけど「バキッ!」と音を立てて。「もともとヒビが入っていた」という診断だったんですけれど、それまでわからなくて、リハビリでアプローチしてもぜんぜん良くならなくて。
いろんな先生に診てもらったんですよ。足首の専門医の先生にも。そうしたら、ようやく、骨棘に亀裂根があったからヒビが入っていたんじゃないかという結論になったんです。自分としては「やっぱり」と納得して、ぜんぜん痛みが取れなかった理由もわかって少しスッキリしました。だって、「ピッチに早く戻りたい」という気持ちでめちゃくちゃ必死になって、気持ちだけガンガン上げていったのに痛みがぜんぜん消えなくて苦しかったですから。それが去年の夏だったかな。そこで一度決断しました。今シーズン(2022)のために時間をかけてちゃんと治そうと。身体を作り直そうと。そうやってリスタートして、2021年末には走れるようになって、今年に入ってから「完治したかも」と思えるレベルにまで持っていったんですけどね。
で、今シーズンに入って、やっぱりコロナの影響もあって、練習開始前にクラブハウス内で体を動かして準備することができなかったんですよね。言ってしまえば、車で待機して、時間になったらそのままピッチに出て練習するような感じだった。だから、ウォームアップを十分にできなかったことも影響していたかもしれません。また痛みが出るようになって、そこからはもう、歩くのも痛いという状態になってしまって。
キャンプからずっと、軽めに練習に参加しながら治そうという形で調整してきました。4月の終わりくらいには監督やスタッフ全員とミーティングの場を設けて、練習に入りながらコンディションを上げていくことを再確認して。でも、それを数カ月続けても、まあ上がらないんですよね。コンディションが。痛みが消えないから、まず全力でのダッシュができない。