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#102

2025.12.31 Update!!

これが俺たちの生きる道。

小林慶行

17年ぶりとなるJ1の舞台も、
ジェフは小林慶行監督とともに歩みを進める。
激動のJ2を突破して見えた“生きる道”とは。

インタビュー・文=細江克弥


小林慶行

―― 慶行さん、まずはお疲れさまでした。最高の結末でした。ありがとうございました。

いやいや、これはもう本当に皆さんのおかげです。

―― まずは契約更新ということで、ホッとした人も多いと思います。

ありがとうございます。自分自身はクラブから話をいただいた時点で、当然、やる気には満ち溢れているので、もう1回やれるんだったら(引き受けたい)という気持ちはありました。ただ、その上で、今回成し遂げたことについてはちゃんと評価してもらいたいという気持ちも本音としてありました。

―― そこをちゃんと判断して、契約更新を決断したと。

はい。今回は、GKコーチとしてずっと一緒に頑張ってきた(川原)元樹が大宮アルディージャに声をかけられたように、僕らスタッフのチーム作りが他クラブからもしっかり評価されている証拠だと思うんです。そこには自信を持っていいと思うし、まさにその部分をしっかり評価していただけたかなと。

―― オフが短くてかなり大変かと思うんですが。

喜びに浸っている暇もないという感じですよね(笑)。編成についてはJ1昇格プレーオフを戦ったことで少なくとも2週間は他クラブより出遅れていると思いますし、選手だけでなく、スタッフも含めて再編成しなければならないというのが現状だと思うので。とはいえやっぱり新しい血は必要で、新しいコーチが来れば僕自身の学びにもなります。そうやって新しい血を入れながら新たなトライ、新たなミスを積み重ねることで可能性は広がっていくものだと思うので、チームとしては当然のサイクルなのかなと。変化することによるリスクももちろんありますけど、自分自身はそれをネガティブには捉えていません。そこに自分たちのステージが変わることによる興奮があるからこそ、そう思うところもあるのかなと思います。

―― いつもはオフを利用して海外を回り、気持ちをリフレッシュする時間を作っていると思うんですが、今年は……。

やっぱり、そこだけが心配です。シーズンの最終盤は自分自身のパワーがギリギリの状態にあることを感じていたし、だからこそ「絶対に海外に行かなきゃ」と思っていたので。でも、今回ばかりはそんな時間はなくて、編成の仕事を始めなきゃならないし、つまり物理的に千葉を離れられない状況なんですよね。呼ばれたらすぐ動けるようにしておかないといけなくて。ただ、どこかのタイミングで一度スイッチを切らないと来シーズンに向けてのパワーを生み出せないことは間違いないので、それをどうするかを考えながら毎日過ごしている感じです。これから工夫します(笑)。

―― 慶行さんご自身が感じるJ1昇格の喜びは、想像していたとおりにちゃんと感じられていますか?

それが……まだよくわかっていないというのが正直なところです。特別な実感というのはほとんどないんですけど、ただ、友人からジェフに関する記事やYouTubeのリンクが送られてくるんですよ。こういうタイミングでしかそういうものに目を通す機会がないので、「え? そんなことになってるの?」と思うことはたくさんあって。テレビに映っているのは間違いなく自分たちの姿なんだけど、自分たちのことのように思えないというか。ああ、そうそう、今朝も小澤一郎さんのYouTubeで楽しそうに話している細江さんの姿を観てこっちまで嬉しくなっていたんですけど、つまりそういう感じですよね(笑)。ジェフがJ1に昇格したことで喜んでくれている人の姿を見て、初めて自分たちが成し遂げたんだという実感が湧くという感じかなと。

小林慶行

―― わかります。たぶんみんな同じ感覚なんでしょうね。

そうかもしれません。ああそれから、2月から始まる明治安田J1百年構想リーグの組み合わせを目にした時はちょっと思うところがありました。もしかしたらアウェイゲームはすべてバス移動になりそうだなとぼんやり考えて、「“こっち側”に来たんだな」と。

―― なるほど(笑)。

もうちょっと、その喜びをじっくり味わう時間がほしいですよね。こればっかりは仕方がないから、なんとか気持ちを切り替えて、少しずつ次の戦いに向かおうとしているところです。

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