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#103

2026.3.3 Update!!

次のフェーズへ。

大久保裕樹

新たに強化・編成のマネジメントを担うのは
引退後にスカウトとして8年のキャリアを積んだ大久保裕樹。
ジェフが見据える“次のフェーズ”について聞いた。

インタビュー・文=細江克弥


―― 大久保さん、お忙しいところすみません。今日は『United vol.318』用のインタビューなんですけど、たぶん文字数の制限に収まりきらないので、フルバージョンとして『ONLINE PLUS』にも掲載しようと思っています。

わかりました。よろしくお願いします。

―― もはや「今さら感」はあるかもしれませんが、昨シーズンに達成したJ1昇格という結果について強化・編成としての見解を教えてください。いつもシーズン終了後に鈴木健仁さんに聞いていたんですが、今回は強化・編成にも入れ替わりがあったのでお聞きできてなかったなと。

そうですよね。いやあ……でも、やっぱりジェフには古河電工サッカー部から始まる長い歴史があって、それがあるからこそJ2に降格してからの16年間は本当に多くの人が、それぞれの立場からいろいろなチャレンジをしてきて、それが実らなかったわけですよね。その思いとかチャレンジがようやくひとつの結果につながったという意味では、大きな歴史の1ページを刻むことができたと思うんです。

―― 単純に喜びの大きさとしては? 現役時代とはまったく別モノだと思うんですけれど。

まったく違いましたね。選手の時はある意味で“見えるもの”が限られていたと思うんです。あくまでチーム内のことと、それからサポーターのことくらいですよね。だけどチームの外側でクラブの一員として向き合っていると、現役時代は想像できなかった数の人がこのクラブのために動いていることに気づかされる。だから感動の種類がまったく違うし、大きさという意味では現役時代よりも大きいと言えるかも知れません。

―― 小林慶行監督が就任してからの3年間は、チーム全体がはっきりと見えている“答え”に対して向かっていくという感覚がありました。もちろん浮き沈みのもどかしさもありましたけど、そのビジョンを共有できていたことが結果につながった気がします。

そのとおりだと思います。小林慶行監督を中心とするチームと強化・編成が「こうあるべき」というチームの姿をはっきりと共有して、その実現を目指して少しずつ積み上げていったという実感は確かにありました。やはり、それ以前はクラブとして何を目指すべきなのか、どういうサッカーをするべきなのか、歴史や地域性を考えた時に何を実現するべきなのかというチーム作りの根幹がまったく定まっていなかったと思うところがあって、まずは自分たちなりの答えを持って、その輪郭をイメージして、それが見えてきた段階で前GMの鈴木健仁さんが“監督経験がない”というリスクがありながらも、それを覆すだけの魅力を感じて慶行さんに監督を任せた。それが完全にハマったことで、クラブも、サポーターも、スポンサーも、地域の人たちも、最終的には同じ温度感で戦えるチームになったと思うんです。それが結果につながった最大の要因じゃないかと思っています。

―― 自分のように外側にいる人間にも、そういう温度感を共有できているという実感がありました。

やっぱり、土台作りが一番大切だと思うんです。そのクラブにとって必要な土台ってどんなものなのかをはっきりと設定することが大事で、それがズレていたらダメなんですよね。ジェフの場合、長い歴史をたどってもとにかく粘り強く、タフに戦うという精神が共通項としてあって、それを土台としながら現代サッカーのエッセンスを組み込んでいく必要があると思っていて。そういう土台を無視したチーム作りにはモロさがあって、ほんの小さなきっかけでも大崩れしてしまう危険性がある。僕自身はもともとそういう考えを持っていたのですが、「土台があっての軸である」という感覚はこの3年を経験してより強くなりましたね。

―― 感覚としては以前から持っていたんですね。

そうですね。僕個人のことで言えば、現役時代から指導者よりもチーム強化のほうに興味があったんですよ。

―― なるほど。

ほら、将来は指導者になりたいと思っている選手が、いろいろな監督の練習メニューをメモして残しているという話ってよく聞くじゃないですか。僕の場合は強化目線で気づいたことをメモしていたんです。

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スカウトとしての8年間

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