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#055

2021.6.23 Update!!

“闘う”ことは誰にでもできる。

小林祐介

3バックへのシステム変更は、ここまでの戦いにおける大きなターニングポイントの1つだ。
同時に存在感を示したのが、加入1年目のMF小林祐介。
攻守における戦術的キーマンに、ここまでの戦いを振り返ってもらった。
※取材=2021年6月3日(第16節終了時点)

インタビュー・文=細江克弥


小林祐介

まだまだ、全然

―― 改めて、ジェフに来ることになった経緯を教えてください。

オファーをもらったのは、去年の10月くらいだったと思います。少し考える時間をもらって、最終的にジェフに決めました。まずひとつは、尹さんのサッカーに自分の特徴が合っているんじゃないかと思ったこと。それから、ジェフはJ1にいなきゃいけないチームだと思っていたし、その力になりたいと思ったことでジェフを選びました。

―― 育成年代を柏レイソルの一員として過ごした小林選手にとって、ジェフはどのような存在でした?

U-18にいた頃は特にダービーということを強く意識させられていたし、ジェフと戦う時は絶対に負けたくないという気持ちがありました。プロに入ってからは、やっぱりちばぎんカップですよね。かなり熱い試合になるということを聞いていたし、実際にやってみて、互いの「負けたくない」という気持ちがぶつかり合うゲームであることを強く感じたので。そういう意味では、はっきりと“ライバル”として認識していた気がします。

―― ちなみにジェフで同学年というと……。

プロになった選手はいないと思うんですけれど、1つ上の学年にハルくん(井出遥也/東京ヴェルディ)と佐藤祥(栃木SC)くんがいました。ハルくんとは、千葉国体(2010年)でチームメイトとして一緒にプレーしましたね。ただ、かなりいいメンバーだったのに1回戦で島根に負けてしまったんですよ。

―― 同学年のレイソルは中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル)、秋野央樹(V・ファーレン長崎)、木村 裕(昨季限りで引退)、それから小林選手と4選手がトップ昇格したすごい学年でしたけれど、トップ昇格したばかりの頃はどんなことを感じていました?

イメージとのギャップはかなりありました。U-18までは近い距離感でパスを回して、“みんなで”という意識の強いサッカーをやっていたんですけれど、やっぱり、プロの世界で求められるのは“個の力”で。結局、自分自身で何かができないと生き残っていけない世界だし、みんながプロとして、「コイツには絶対に負けない」と思いながらやっている世界だったので。そういう意味で、アカデミーとトップの違いはかなり強く感じました。

―― 感覚としては、苦労しました?

はい。1年目は1試合も出ていないし、一人で居残り練習する時間も結構あったりして。ただ、メンタル面ではすごく鍛えられましたね。2年目に結果を残さないと、この先はないという強い気持ちを持てたので。

―― あの頃のレイソルには、個性豊かなタレントがたくさんいました。特に影響を受けた選手はいますか?

レアンドロ ドミンゲスは、うーん、ちょっともう……とにかくすごかったですね。本当にすべてのレベルが違い過ぎて、1つのトラップ、1つのパスを見ても「うわ、すごいな」と感じることばかりでした。

―― 今年でプロ9年目。そういう厳しい世界の中で「生き残ってきた」という実感もあるのでは?

いやー、どうだろう……。僕の場合、ケガが多かったこともあって試合に出続けることができてないので、そういう意味では「まだまだ、全然」という感覚が強いかもしれません。ただ、単純に“闘う”とか、球際で負けないとか、そういう部分って誰にでもできるし、意識だけでやれることだと思っているので。そういう気持ちの部分だけは絶対に負けたくないし、練習から常に出してきたつもりです。レイソル時代にはネルシーニョ監督からもそういう部分を評価してもらっていたし、監督が求めているプレーをいかにして表現して、なおかつ自分が持っているものを出せるようにということを常に考えてきたので、その部分を徹底的にやり続けてきたからこそ今の自分があって、8年も9年もプロの世界でやってこられたのかなと思いますね。

―― ジェフに移籍することになって、不思議な感覚もあったのでは?

それはありました。まさに不思議な感覚ですね。ただ、僕自身は試合に出ることが何よりも大事であると考えての移籍でしたし、周りの人たちも「頑張れよ」と言ってくれたので。特に「ジェフだから」という理由で何かを言われたことはなかったと思います。

―― 逆に、「ジェフだけには行くな」と言われるような関係にならなきゃいけないのかな……。

そういう考え方もあるかもしれませんね(笑)。

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『システム変更がターニングポイント』

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