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#063

2022.2.13 Update!!

「原点回帰」に思いを馳せて

hummel新ユニフォーム誕生秘話

今、30年前を想起する意味

新ユニフォームの現物が完成したのは、公式発表の3日前だった。オンライン会議の画面の向こうでは、近藤と苦楽をともにしたSSKのヒュンメル担当者が嬉しさのあまり新ユニフォームを身にまとっていた。その様子を見て、近藤自身にも達成感がこみ上げてきた。

「KAPPAのユニフォームをともに制作した株式会社フェニックスの皆さんも、強い思いを持ってこの仕事と向き合ってくれました。その情熱は本当に素晴らしかった。SSKさんも、それとまったく同じスタンスで新ユニフォームの制作に臨んでくれました。デザインを見れば、ジェフのことをものすごく深く勉強してくださったことがわかりますよね」

もちろん、勇人の思い入れも強い。

「完成品を見た瞬間、誰よりも『着たい!』と思った自信があります(笑)。子どもの頃に憧れたユニフォームのデザイン。30年後の今、あの気持ちを思い出させてもらえたことには大きな意味があると思うからこそ、自分も制作に携わることができて良かったなと。そうそう、ちょうどこの間、選手たちが写真撮影していたんですよ。意外と気になるんですよね。自分に似合っているかどうかが(笑)。選手たちは『お前、ぜんぜん似合ってねえな』とか言いながら、『これを着て1年間戦うんだ』と気を引き締めるんです」

30年後の今、あの気持ちを思い出させてもらえたことには大きな意味がある――。もしかしたら近藤も、勇人と同じ思いを抱いているかもしれない。

「1993年に入社して、初めてのホームゲームが国立競技場だったんですよ。ナイトゲームで初めてあの黄色いユニフォームを見た時に『キレイだな』と思いました。満員のスタンドが黄色く染まる。あれをもう一度、クラブとして経験したい。後輩たちにも味わってもらいたい。私がこのクラブで働ける時間はそんなに長くないけれど(笑)、やっぱり、そういう仕事をしたいなと。

勇人ですか?初めて名前を聞いたのは舞浜の練習場にあったスタッフ用の更衣室でした。残業をしていると、練習を終えたアカデミーのコーチが戻ってくるんですよ。その日のことを楽しそうに話しながら帰り支度をしていて、その会話の中にいつも『佐藤勇人』の名前があって」

思わず、勇人が「悪い噂のほうでしょ?」とツッコミを入れたが、近藤は「いいほう」と笑い、「こうして一緒に仕事ができるなんて思ってもみなかった」と感慨深そうに続けた。

勇人が言う。

「アカデミーの頃からトップチームの選手たちに憧れを持っていたけれど、同じように、トップチームで働いていた“大人”もカッコいい存在でした。そういう人たちと話をして、じゃれたりして、その時間が自分にとってすごく幸せだった。コンちゃんみたいにジェフに対する強い思いを持っている人と引退しても親しくさせてもらっていることが本当にありがたいし、アカデミーにとって、同じような存在に自分もならなきゃいけないと思います」

嬉しそうな表情でその話を聞いていた近藤と、勇人と、そして、彼らと同じようにジェフに対する強い思いを持ったメンバーがヒュンメルとともに作り上げた新しいユニフォームを着て、新たに迎える2022シーズンをジェフは全力で駆け抜ける。