#065
2022.11.28 Update!!
鈴木健仁GM
17勝10分15敗、10位という成績で幕を閉じた2022シーズン。
尹 晶煥監督との3年間を戦い終えたジェフは、
どんな道のりを選択して次のステージに進むのか。
鈴木健仁GMに「2022総括」と「未来への展望」を聞く。
インタビュー・文=細江克弥
―― 鈴木GM、今日はありがとうございます。まずは2022シーズン全体について、簡単に総括していただけますか?
よろしくお願いします。そうですね……自分たちなりにいろいろな角度から、いろいろな手を尽くしてチャレンジしたことが「失敗」に終わってしまった、そう振り返るしかないシーズンだったと思います。それについて応援してくださる皆さんに申し訳なく思うと同時に、GMという立場でこの1年考えてきたこと、この先について考えていることをお話しできればと思っています。
―― 結果としては17勝10分15敗で勝点「61」。最終順位は10位に終わりました。
2021年はシーズン終盤に13戦負けなしという流れがあっての8位。それを下回る成績に終わってしまいましたし、連勝をして勢いに乗るような時期もほとんどなく、大事な試合で星を落として順位を下げることを繰り返してしまいました。J1昇格を目標としながら、J1参入プレーオフ圏内ですら終えられなかったことの責任を感じていますし、サポーターの皆さんにつらい思いをさせてしまったと思っています。
―― 尹 晶煥監督に指揮権を託して3年目のシーズンでした。コロナ禍での変則日程を含めていろいろな意味で難しい3年間でしたが、結果的には一度もJ1参入プレーオフ圏内に入ることができませんでした。
尹監督が結果に対して強いこだわりを持つ監督であり、そのために現実的なスタイルを選択する監督であることは、サガン鳥栖やセレッソ大阪での実績から理解していた人も多いと思います。もちろん、クラブとしてもそこに大きな期待を寄せて、2020シーズンから監督の仕事をお願いしました。
指揮を執って3年目である2022年は「勝負の1年」と位置づけていました。1年目の2020シーズンは14位、2年目の2021シーズンと思うような結果が出ませんでしたが、尹監督がこのチームで積み上げてきたものに期待していました。以前にもお話しさせていただいたと思いますが、2021年からは、2020年の反省を踏まえて尹監督のスタイル、尹監督のサッカーに対してより着実に勝点を取るためにどうアレンジしていけばいいかをともに考え、互いに意見を出し合ってたくさんの話をしてきました。
ただ、結果的には最後まで答えを見つけられなかった。勝点を着実に積み上げていくためのスタイルを作ることができなかった。それが一番の敗因だと思っています。
―― この3年は主に守備面に改善が見られた一方、「どうやって点を取るか」が大きなテーマとして浮き彫りになりました。2022シーズンは「主体的にボールを握るサッカー」をその解決策として掲げてスタートしましたが、実現せず、次第に“元の形”にスタイルが戻っていきました。
尹監督との話し合いの中で、チームとして目指すべきところを見つけてキャンプに入りました。ただ、開幕前に感じていた手応えを序盤からうまく表現することができなかった。もちろん、そういう状態でも我慢しながらうまく勝点を拾っていかなければならないのですが、そこもうまくいきませんでした。
やはり、新型コロナウイルス感染症の影響をモロに受けてしまう難しさもありました。ただ、結果的には、2021シーズンを13戦負けなしで終えた勢いを維持することができなかったことが大きく響いたと思いますし、2022シーズンを振り返る上での大きなポイントになってしまいました。
―― その状況を打破するために考えたことは?
尹監督がチーム状況を考慮して、現実的なスタイルに戻して戦おうとするなら、やはりカウンターの精度を上げなければなりません。それについては2021シーズンから「そのためにどうすればいいか」を一緒に考えてきましたし、尹監督自身も大きな課題であると感じていました。ただ、継続的にその改善に取り組んできた中で、カウンター攻撃をチームの武器になるような状態にまで仕上げることができなかった。決定力不足の要因はそこにあったと思います。
―― その問題に対する編成・強化的な反省点はありますか?外から見ていて、ファン・サポーターの皆さんは「今年もカウンターに頼らなければならないけれど、そもそもカウンターで点を取れるチームでもないのでは?」と感じている気がしました。
ファン・サポーターの皆さんの中では、例えば2020、2021シーズン限りで契約満了となった選手の名前が挙がったり、チアゴ デ レオンソの合流の遅れなどに対して疑問があったかもしれません。チアゴについてはどうにもならない理由があってあれ以上のスピード感で合流させることができなくなってしまったのですが、編成に関しては、チームが一体感をもって前に進むために、どのようなスタイルを選択しても適応できる顔ぶれを揃えることができたと思っています。ただ、それは結果を出して初めて言えるということは僕自身もよく理解しています。
―― 確かに、結果的には“ジェフのサッカー”が見えているようで見えなかったシーズンだった気がします。失敗の原因をひとつに絞るなら、やはりそこが大きかったということですね。
そう思います。スタイルを作ることは簡単ではありませんが、尹監督とともに3年かけてトライしてきた中で、最後まで明確な答えを見つけることができなかった。そこに力不足を痛感しましたし、さらに強い意志を持ってトライしなければならない課題であると感じました。