#085
2024.09.03 Update!!
久保庭 良太
第17節V・ファーレン長崎戦で負ったケガから3カ月。
久保庭良太はピッチに戻るための準備を順調に進めている。
今シーズンの“サプライズ”であり、終盤戦のキーマンだ。
インタビュー・文=細江克弥
―― 長崎戦(第17節)で負ったケガからもうすぐ3カ月。あの時のことも、現状についても話を聞きたかったのでお呼びしました。
ありがとうございます。元気です(笑)。
―― 回復は順調ですか?
順調です。すごくいい感じでリハビリを進められています。
―― それは良かった。改めて、ケガについて聞いてもいいですか?
はい。ぜんぜん大丈夫です。
―― 診断としては「全治約3カ月の疲労骨折」ということでした。
そうですね。あの試合の失点シーンで、競り合った時の着地の瞬間に痛めてしまったんですけど、診断としては疲労骨折ということで、やっぱり蓄積していたんだと思います。もう1回立ち上がって身体をぶつけにいきたかったんですけど、ぜんぜんダメでした。痛みでまったく力を入れられなくて。
―― 「もう1回立ち上がろう」という気持ちがあったことは中継映像でも伝わってきたし、実際のところ立ち上がってシュートブロックに入ろうとした。
最初の競り合いで着地した瞬間に“やってしまった”ことはわかったんですけど、自分がマークしていたエジガル ジュニオ選手がフリーになってしまっていたし、あからさまにヒジが入るような競り合いじゃなかったので、自分があのまま倒れていてもレフェリーは試合を止めないだろうなと。だから、なんとか立ち上がって……身体をシュートコースに入れちゃえばどうにかなると思ったし、そうしなきゃいけないと思ったんですけど……最後の局面は相手のクオリティーに上回られて、結局ゴールを決められてしまいました。
―― そこまで考えたんですね。あの瞬間に。
はい。でも、結果的には失点につながってしまったので。
―― あの長崎戦はジェフにとってめちゃくちゃ重要な試合で、結果的にはあの1発だけで負けてしまった。チームとして小さくないショックを受けた敗戦だったからこそ、感じる責任も大きかったのかもしれない。
やっぱり、あの時点では上位対決だったし、チームとしては勝ち切ることで何か大きなきっかけを掴めるに違いないと信じ切っていた試合でした。ただ、今になって思うのは、試合展開によっては「離されない」という考え方も必要だったのかなと思っていて。このあいだの横浜FC戦(第25節)もそうですけど、試合の進め方の部分ですよね。長崎戦については自分のあのプレーが失点につながってしまって、結果的に負けてしまったので、そこはやっぱりめちゃくちゃ悔しかったです。
―― 悔しいですよね。ちなみに、あのプレーって別の対応方法があったと思いますか?
それもめっちゃ考えました。エジガル ジュニオ選手は身体が強くて、しかも使い方がうまい。それはスカウティングでもわかっていたし、試合をやりながら実感していたところだったのは、まずは“身体をぶつけすぎない”ことが大事だなと思っていました。
―― 相手の土俵で勝負しないということですよね。
そうです。身体を近づけ過ぎるとパワーでブロックされてしまうので、適度な距離感を保っておいて、最後のところだけ瞬間的に身体をぶつけにいく感覚というか。パワーじゃなくてスピードと身のこなしのテクニックが求められると思うんですけど、それについてはある程度はうまくやれていたと思うんです。ただ、あのシーンについてはペナルティーエリア付近の空中戦で、やっぱり先にボールに触ることを第1に考えていて。でも、結果的には空中で相手に身体をぶつけられて、バランスを崩してしまったことでああいう着地になってしまったので。だからこそ、そういう技術の大切さを痛感しました。もちろんフィジカル的なパワーアップも大事だし、身体の使い方や技術をもっと上げなきゃいけないなと。
―― 点を取れるストライカーはそのあたりの駆け引きがめちゃくちゃうまいですもんね。
こっちも常に集中して対応しているんですけど、例えば“蹴り合い”みたいな試合展開になった時に、ハイボールに対する競り合い方がうまいんですよね。よく言う“腕の使い方”のうまさはもちろんなんですけど、視界から消えたと思ったらいきなり現れたりするので。フィジカル的な技術だけじゃなく、メンタル的な技術というか、心理的な駆け引きも含めてレベルを上げなきゃいけないと思っていて。
―― そういう意味では、もちろんケガしてしまったことは残念だけど自身の中に蓄積できることはかなり大きかった。
本当にそう思います。クオリティーの高い選手、単純にゴールをたくさん決めている選手とのマッチアップは勉強になることがたくさんあって、自分自身のことを知るきっかけにもなるので。特にあの長崎戦では自分にとって課題となるところがはっきりと見えたので、ケガをしてしまったことはめちゃくちゃ悔しいですけど、切り替えて、この経験を自分の成長につなげなきゃいけないと思っています。