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2024.12.28 Update!!
鈴木健仁GM
2024シーズンの終了と同時に、新たな1年は動き始めている。
変化が求められる今、チームの編成を司る鈴木健仁GMはどんな手を打つのか。
オフシーズンの動向と、新シーズンの展望について話を聞いた。
インタビュー・文=細江克弥
―― 改めまして、2024シーズンおつかれさまでした。
おつかれさまでした。今シーズンもありがとうございました。
―― まず、結果についてはどう受け止めていますか?
感情的な部分で言えば「本当に悔しかった」という言葉に尽きます。ただ、僕らは常に結果を受け止めるしかないので、目標を達成できなかったことについて申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当にいいチームだったと思うし、J1昇格に値するチームだったと思っているんですけれど、やはり結果は7位だったので。自分の中ではそれをはっきりと受け入れて、この経験を生かすためにも次に進まなければいけないという気持ちでいます。
―― まずは小林慶行監督の契約更新が発表されましたけれど、どのような判断で3年目の指揮権を託そうと思われたのでしょう。
順位を見れば2023シーズンよりも下がっているし、目標を達成できなかったことを重く受け止めなければならないと思っています。ただ、小林監督が作るチームを一番近いところで見てきて、本当にいいチームだったと思うし、着実に成長し、安定してきていると感じています。それを根拠として、彼にもう1シーズン任せたいと思いました。この2年で作ってきたベースを元に、それをさらに進化させて来シーズンも戦ってもらいたいと。もちろん、その先に目標達成を見据えての判断です。
―― 小林監督もいつも言っていますが、予算規模としてのジェフの現在地を考えた場合、やはり“積み上げ”によって自分たちよりも規模の大きなクラブと戦わなければならないというのが基本的な考え方ですよね。
そうです。そこは共通認識として強く持っているところです。
―― その“積み上げ”がはっきりとあると感じるからこそ体制を変えないということですよね。
はい。まさにそのとおりです。
―― であれば、チーム全体として積み上げるために、編成・強化の観点からやらなければならないことは?
いくつかあります。今、まさに編成を進めているところですけれど、2024シーズンはやっぱり多くのケガ人を出してしまった1年で、各ポジションの選手層の薄さを感じざるを得なかったというのが正直なところです。それは完全に編成側の責任であると思っているんですが、ケガについては読めないところがあるとはいえ、そうなってしまってもチーム力を維持できる戦力を揃えなければならないと改めて感じました。競争力を高めるという意味でも、そこにはもっと力を注がなければならないなと。
もうひとつは、ケガ人を出さないという努力ですよね。その原因について監督はもちろん、メディカルスタッフやフィジカルコーチと話をしながら、“いかにしてケガ人を出さないようにするか”を実現しなきゃいけないと思っています。そのために、来シーズンはスタッフの体制を少し変えることにしました。
―― なるほど。ただ、サッカー界のトレンドとしてフィジカル的なハードさは増すばかりで、かといって試合やトレーニングの強度を落とすことはできないことを考えるとケガ人をコントロールするのはかなり難しいですよね?
かなり難しいと思います。でも、だからと言って何も手を打たないわけにもいかないので、本当にいろいろな角度から話をして、サッカーの強度を落とさないままケガを抑制する方法を見つけなきゃいけないと思っているんです。例えば、一般的には前十字靭帯やアキレス腱の断裂は「防ぎようがない」と言われていますけど、「そうじゃないかもしれない」という観点に立って対策を考えなきゃいけないなと。そういう共通認識のもとでチームを作りたいと考えています。
―― ある意味、ケガに大きく左右されてしまった今シーズンのことを考えると、そこにもちゃんと向き合わなければいけない。
間違いないですね。特にシーズン中盤から後半にかけてかなり苦しみましたし、序盤戦においては即戦力として獲得したエドゥアルドの長期離脱も大きな影響がありました。それについては、編成の立場としては監督に迷惑をかけてしまったと思っていて。
―― それも多面的な要素があって、別の角度から見ればそれによって若手の成長が見られたことは間違いないし、決してネガティブな要素ばかりではなかったですよね。
もちろんそういう一面もあると思います。ただ、最終的にチームとしての目標を達成できなければ「良かった」と振り返ることはできないなと。
―― なるほど。確かにそうですね。
編成の立場においても、もちろんできることはやりました。シーズン中の期限付き移籍での獲得についても、チームのコンセプトに合った選手を探して、なるべくスピーディーにチームに加えることができたと思っています。ただ、それができたとしても、やっぱりそもそものメンバーに起こり得るケガへの対策はしっかり取らなければいけないなと。具体的には新たに加わるスタッフがいて、役割分担についても明確化します。そういった面においても新しいチャレンジをして、なんとかチーム力を1年間維持できる体制を作りたいと思っているんです。