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#094

2025.5.16 Update!!

個としての自信とチャレンジ。

品田愛斗

その存在感が放つ独特の輝きが、少しずつ際立ち始めている。
もっとも、輝き方はジェフに来たばかりの1年前とは大きく違う。
自信と意欲に裏付けられたチャレンジが、品田愛斗の進化を促す。

インタビュー・文=細江克弥


品田愛斗

ジェフ1年目の新発見

―― 現時点でのフィジカル的なコンディションはどうですか? 痛いところは……特にない?

いや、痛いところは常にあります。もはやそれも普通という感じなのでなんとも思っていないんですけど、まあ、それも含めていろいろな日がありますよ。今日はコンディションを上げるためにフルパワーでやろうとか、ちょっと怪しいからケガに気をつけようとか。“できる範囲の全力”みたいな感じですかね。みんなそうだと思うんですけど。

―― “その日の自分”と向き合った上でのコンディションのコントロールって、もはや手慣れたものという感覚ですか?

そうですね。僕の場合は育成年代に大ケガをしたことがあって、それがきっかけで自分のコンディションは自分で作るものという意識が強くなったことが大きくて。

―― 今シーズンは早めに話を聞いておきたいなと思っていたんですけど、まず、育成年代からずっと在籍してきたFC東京を完全移籍という形で離れる決断を下した。そのあたりの話って、改めて聞いてもいいですか。

流れとしては、昨シーズンは期限付き移籍という形でジェフに来て、終盤戦にかけてシビれる展開になっていったじゃないですか。今までの自分は、試合に出続けることによって緊張感が増していくという経験をしたことがなかったんですよ。その逆。試合に出ながら少しずつ慣れていって、どんどん落ち着いてやれるようになるというのが今までの感覚だったんですけど。

―― なるほど。

トレーニングから監督に“見られている”という空気感があって、だから、いつ序列が入れ替わるかわからないという緊張感が常にあって。1日1日のトレーニングに公式戦の1試合みたいな、そのくらいの気持ちと準備が必要だと感じていたんですよね。まったくサボれなかったし、週末の本番のピッチに立つたびに緊張感が増していく感じだった。それを経験したのが初めてのことだったので、「こんなことってあり得るんだ」と思っていました。正直、それはかなり驚きました。

―― “驚いている”という雰囲気はまったく感じられなかったですけど。

「実は」という話です(笑)。で、とにかくそれが心地良かったんですよね。日常的にみんなと切磋琢磨して、年齢とか関係なく「ここから日本代表になってやる」という思いがはっきりと見える選手もいて。自分はこういう選手たちと一緒にやりたかったと心の底から思ったし、チームとしても(小林)慶行さんの下でこれだけの一体感があって、ファン・サポーターの皆さんも僕たちのサッカーを見てフクアリに集まってくれるようになって、で、あれだけ熱い声援を送ってくれるようになって。今のジェフは、自分にとってめちゃくちゃやり甲斐のある、価値のあるチームだと思いました。

―― うん。

その上で、シーズン終了後に「絶対に残ってほしい」という言葉をもらったので。もちろん監督からも。それだけ必要としてくれるチームって、そんなに多くないじゃないですか。自分のプレースタイルを考えても“どんなチームでも試合に出られる”というタイプじゃない。それは自分でもわかっていたし、気持ちとしてもジェフに残りたいと思っていたから、その言葉をもらえるなら残るしかないと思いました。

―― 昨シーズン終盤の戦いには、それだけシビれるものがあった。あまり感情的な表現をしない品田選手にとっても。

まあ、そうですね。その感情がどんどん高まっていくことに驚いたというか。自分はJ1のチームからジェフに来ましたけど、J1に行くことさえこんなに大変なんだと思ったし、最初から自分がJ1のチームでプレーできたことには運も大きく影響していたと改めて感じたんです。ここは自力でJ1を掴み取る場所だと思うので、だから、個人としても、絶対に1年でJ1の舞台に戻りたいと思っています。

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自分みたいな選手の生き残り方

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