#095
2025.6.4 Update!!
ホセ スアレス
最後尾に立つその存在感は、日に日に増している。
今や守備だけでなく攻撃でもキーマンのひとり。
ホセ スアレスに今の思いを聞いた。
インタビュー・文=細江克弥
―― ここのところシーズン序盤と比べものにならないほど身体がよく動いていることがわかります。試合を重ねながら、かなり本来のフィジカルコンディションが戻ってきているのでは?
ありがとうございます。そうですね。ケガの影響でかなり長くピッチから離れていたので、正直なところ、ジェフに来たばかりの頃はコンディション的に「まだまだ」といった感じでした。でも、今はどんどん良くなっているという感覚がありますね。
―― コンディションが上がってくる感覚って、どういう瞬間に感じるものなんでしょう。
その部分においても、フィールドプレーヤーとはまったく違うんですよね。フィールドプレーヤーは大人数のトレーニングの中で、ある意味“調整しながら”コンディションを上げられると思うのですが、GKは少人数で、瞬発的なパワーを常に表現しなければならなくて。そこに少し苦戦しましたし、例えば、ボールをキャッチした瞬間にボールから手に伝わる感覚がどこか不完全というか、違和感があるというか。僕にとっては、ジェフに来て最初の1週間がとても大事でした。この時間をうまく過ごせたことでコンディション調整のスピードが上がったと思うし、最近はフィジカル的な感覚もボールに対する感覚もかなり上がってきていると思います。
―― 実は、ホセ選手が加入すると聞いた時にちょっと驚きました。「え? 空いてるの?」と。昨シーズン限りで徳島ヴォルティスを退団後は、どのようなプランだった?
僕は日本でプレーすることがとにかく好きだし、妻も日本での生活を気に入ってくれているので、「できるだけ長く日本でプレーしたいね」と普段から話していました。徳島から契約満了を告げられた時も、もちろん「このまま日本でのプレーを続けたい」と考えていました。でも残念ながら正式なオファーがなく、向こうでプレーするつもりでスペインに帰ったんです。ジェフからのオファーは、それから少し経ってから届きました。本当に嬉しかったですね。
―― どうして日本でプレーしたいと?
やっぱり、家族のことが大きいです。日本で子どもが生まれて、日本での生活を気に入っている妻がいて、彼らが幸せを感じることが僕自身の幸せであるからこそ日本でプレーしたいと思う。それが僕にとっての大きなモチベーションになっているので。―― 奥様はどうしてそんなに日本での生活を気に入っているのでしょう。
実は、彼女には昔から空手(カラテ)を習っていた家族がいるんですよ。だからスペインにいる頃から日本の文化に触れて興味を持っていたし、実際に来てみて「やっぱり素晴らしい国だ」と確信したところがあったみたいで。僕は、そんな彼女の幸せそうな表情を見るたびに「日本から出たくない」と思うんです(笑)。
―― エピソードが素敵(笑)。ホセ選手にとって日本でプレーすることの魅力は?
徳島で3年間プレーしていて感じたのは、日本のサッカーは年々レベルが上っているということです。2026年から秋春制が採用されることで、進化のスピードはさらに上がるのではないかと思っています。ちなみに、スペインにいる元チームメートや友人たちからは「俺も日本でプレーしたいんだけど!」という連絡がめちゃくちゃ届きます。つまりそれって、スペインにも今の日本のサッカー、日本でプレーすることを魅力的に感じている選手がたくさんいるということですよね。僕がその連絡をもらったところで何もすることはできないんですけど、とにかく“問い合わせ”はたくさん来ます。
―― カルチャーに対する興味も強いのでは?
今はSNSの時代だから、動画や画像で見る日本に対する憧れ、カルチャーに対する興味は強いと思います。しかも、僕らと、僕らの少し上の世代は小さい頃に日本のアニメを見て育ってきたんです。スペインでの日本のアニメブームがものすごかった時期で、だからその影響がベースにあるし、しかもこのSNS時代ですからね。日本に行ってみたいと思う選手が多いのは当たり前のことかもしれません。―― なるほど(笑)。ちなみにホセ選手はどの作品が好き?
僕は『キャプテン翼』と『ドラゴンボール』かな。その他にもいろいろな作品を観たけどタイトルを覚えていなくて。僕よりも妻のほうが詳しいし、僕の父親は57歳ですけど「俺は『マジンガーZ』を観て育った」と言っているほどに日本の影響を受けているんですよ。
―― それもまたすごい(笑)。ということは、ホセ選手にとって日本でプレーした3年半はすごく大きな意味のあるのかもしれませんね。
本当にそう思います。先日、Jリーグ100試合出場の表彰をしてもらいましたけど、あれは日本に来たから達成できたことであり、スペインでプレーし続けていたら絶対に成し遂げられなかった記録だと思っているんです。だから徳島ヴォルティスとジェフ、それから日本のサッカーには本当に感謝しているし、できるだけ長くここでプレーしたい。ジェフのユニフォームを着続けたいと思っています。