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#096

2025.7.8 Update!!

今、必要なこと。

鈴木大輔

今、チームが苦境に立たされている。
勝負を懸けたシーズン後半戦。
ジェフはどう戦うべきか。キャプテンに聞いた。

インタビュー・文=細江克弥


鈴木大輔

基準を示す。

―― シーズンの半分が終わったタイミングなのでキャプテンに話を聞きたいなと。いつもそんな役割ばかり求めて申し訳ないんですけど。

いえいえ、ぜんぜん大丈夫です。話すのは好きなので。

―― ありがとうございます。現時点で1位(取材日6月19日)。まずは、この結果をどう捉えていますか?

たぶん誰も予想していなかったと思うので、客観的に見て、そういう意味では「サプライズ」と言える結果なのかなと思いますね。自分たちの中でも「毎試合がギリギリの戦いだった」という感覚が一番にあって、だから、順位のことはほとんど意識せずにここまで来た気がします。個人的にもそうだし、チームとしてもそう。始まりからずっとギリギリの戦いだったじゃないですか。自分たちでもそれがわかっていたから、目の前の試合にすべてを出し尽くして勝てるかどうかという感じだった。「やっぱり俺たちは強い」なんて思ったことはなかったし、逆に言えば、そういうメンタリティーで戦ってこられたからこその順位なのかなと。

―― ということは、開幕直後も半分を消化した今もメンタリティーとしてはたいして変わらない?

変わらないですね。本当に、一人ひとりが目の前の試合で与えられたタスクを全力でこなして、結果を出さなきゃいけないということの連続でしたから。試合に対する向き合い方みたいなところは、まったく変わっていないと思います。

―― そうは言っても、ここから先は順位を意識せざるを得なくなってくる。「いけるかもしれない」という欲だってきっと出てくる。それについてはどう向き合っていく?

チーム全体としては、今まで首位に立つという経験がなかったからこそ「わからない」というのが正直なところだと思うんですよね。自分たちは勝者の振る舞いみたいなものを知らないから、とにかく目の前のことに集中するしかない。だからそこにフォーカスし続ける。でもやっぱり、この順位にいれば周りからも言われるし、個人でも意識するじゃないですか。ここ最近は下の順位との差がどんどん縮まっていて、だからもちろん危機感だって感じている。そうやって“順位を意識すること”が自分たちのパフォーマンスに影響しているとは今のところ思わないんですけど、それが出始めてからが本当の勝負なのかなとも思います。

―― 難しいですよね。勝てない時期の難しさというのもあるけど、それと変わらない難しさが、勝っている時期にも結局ある。

本当にそう思いますね。だからこそ、勝っていても、そうじゃなくても、自分たちがやるべきことは変わらないんだと思います。

―― なるほど。

自分たちのやるべきことって、勝っても負けてもブレそうになる瞬間があるじゃないですか。それがあっても自分たちらしさを貫けるかどうかが重要で、いつも言っていますけど、やっぱり「最後に勝つ」ことだけを意識するべきなんだろうなと。それまではずっと自分たちのこと、やるべきサッカーのことだけにフォーカスする。そういう流れを作らなきゃいけないと思っています。

―― それにしても、ここまでの戦いにおいては大輔選手の存在感がすごかった。チームとしては開幕戦に勝てたことが「すべて」と言っていいくらい大きかったけど、内容的にはボロボロで、それを立て直すために鈴木大輔の力が必要だった。復帰のタイミングとしては予想よりもだいぶ早かったし、しかも初戦からパフォーマンスが素晴らしくてめちゃくちゃ驚きました。

正直、自分でも「本当にやれるのか」と思ってしまうタイミングでした。試合から8カ月くらい離れていたし、試合のピッチに立つ自分をまだはっきりと想像できなかったというか。「本当にやれるのか」という自分への問いかけと、「やるしかない」という覚悟というか。そういう葛藤はあったというのが正直なところですけれど、それはどのタイミングで復帰したとしても感じることじゃないですか。どこかで勝負しなきゃいけないこともわかっていたし、(小林)慶行さんもトレーニングでの自分のパフォーマンスを見て決めてくれたと思うので、なんとしてもその期待には応えたいと。

―― コンディションとしてはどの程度の状態だった?

フィジカル的な部分は8割という感じだったと思います。ピッチレベルでのパフォーマンスや試合勘については「いける」とは思っていたんですけど、それもあくまでトレーニングにおいての話だったので。

―― もちろん慶行さんはそこに対する確信があったと思うんですけど、逆に、たとえその状態であっても、今、大輔選手がピッチにいないと危険だと判断するくらい危うい状態だったということだと思うんです。僕自身もメンバーリストに大輔選手の名前があることを確認して「マジで?」と思うと同時に、「確かに、それで一気に解決する問題がいくつもある」とも思いました。だから、慶行さんも勝負に出たんだなと。

僕自身もそういう状況については理解していたつもりで。プレシーズンも開幕戦もかなり苦しい内容で、そういう時こそピッチで“基準”を示すことが大事だとずっと思っていて。そのための準備だけはしていました。

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逆サイドのアラート。

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