3-0で勝てたことは、うれしい以外の何ものでもない。そして、スコアだけではなく内容もよかった。選手のパフォーマンスには満足しているし、最高の評価を与えてもいいと思っている。サッカーはこういうもんだ、と表現できた時間帯が長かった。クリエィティブな攻撃、ディシプリン（規律）のある守備と、われわれが昨年の後半から目指してきたサッカーができた。特に攻撃面に関し、ボールに対しての動き出すタイミング、判断力が課題だったが、今日の試合はその辺を実践できたと思う。最初の得点がいい例で、相手ディフェンスの裏に斜めに走りこみ、フィニッシュまで持ち込むことができた。何より目指すサッカーに対して、選手一人一人が真剣に取り組んでいる。もっと正確にパスを動かし、チャンスを作って得点を決めることができれば、もっと高いレベルのサッカーを披露できるだろう。8年前に（フリューゲルスを）指導したときは、ゾーンプレスの徹底が主な目的だったが、今は攻撃における動き出しとタイミングが教えの中心。ヨーロッパの強豪も同じようなコンセプトで、これが実践できればJリーグの中でも驚きをもったチームになるだろう。だからこそ、このサッカーを続けることが重要。そうすれば残留争いではなく、目標の中位から上が狙える。とにかく支えてくれるスタッフも含め、チームの方向性が表現できたゲームだったと、非常に満足している。

─── 阿部がいない中での今日のポイントと、今後については。

何度もいっているように阿部は、チームはもちろん、日本の若手の中でも重要な選手。もし、今日のゲームに阿部がいれば、あと2、3点取ることができたかもしれない。しかし、阿部がいないということよりも、われわれがどういうコンセプトで戦っているのかが大切。チーム全体が同じ意識でトレーニングを行い、だれかが抜けたときでも代わりに入った選手がどれだけ活躍できるかが問題になる。今日も阿部が抜けた穴ではなく、呂比須、ケリー、アマラオをどう抑えるかがカギだった。スーパースターがいて勝負するチームだとは思っていないし、あくまでも全体で戦っていくことが大切だ。

─── 大柴の評価は。

絶好調だと思う。いろいろなポジションをできる選手だが、ウイングバックだとディフェンス面が本人の意識の中で大きくなり、ストレスも感じるのだろう。攻めの持ち味が減ってしまう。逆に、動き出しのタイミングなどを知っている選手なので、トップに入ったときはハツラツとしている。

─── 最高のパフォーマンスを出すまでに時間がかかった理由は。

おっしゃるとおり、ここまで時間がかかったのは確か。しかし、日本人はハードワークをするし、非常に勤勉。時間がかかるかもしれないが、やってくれるとは思っていた。こういった戦術面は、大人になってから植えつけようと思っても大変で、日本サッカーの問題点といえるかもしれない。小さいころからコンセプトをもって指導し、その中で個人のクリエィティブさを大切にする。そういった指導が必要だろう。

今日は型にはまったゲーム。前半に2点リードして、後半すぐに追加点を挙げたことで相手を苦しめた。ディフェンスも今日はバランスが崩れなかった。集中して0点に抑えることができたのも大きい。課題を挙げるとすれば、後半に入ってラインが下がってしまった点。もっとラインを上げてプレッシャーをかけていかなければならない。また、相手がシュートを外してくれたので助かったが、後半の最後のほうは1対1で負けるような場面もあった。

大柴がフルタイムでいい働きをしてくれたし、崔龍洙との絡みもよかった。それぞれがきちんと自分の役割を果たした。ただ、前節のマリノス戦も今日も相手の動きが悪く、ウチが特別によかったわけではない。今後も今日ぐらいのピンチの数を抑えられれば、上を狙えると思う。勝っていることで自信を持てるようになったし、自信を持っていいと思う。自分の得点は1年に1回あるかどうかで、たまたまの偶然。ボクの仕事であるアシストをもっと増やしていきたいし、特にFKはもう少しいいボールを出したい。

今日は前半からいこうと思って、最初から頑張りました。チームも勝っているし、自分もいいプレーができていると思う。今後は崔龍洙さんに、いいボールをどんどん出していけるようにしたい。今年は試合に出してもらい、信用してもらっている。だからこそ、もっともっと頑張ります。

ゴールできたことよりも、チームが勝てたことがうれしい。前半に比べ、後半は攻撃が雑になってしまい、ディフェンス陣には迷惑をかけた。別にトップでもウイングでも同じだが、出た試合で自分のベストパフォーマンスを出せるようにしたい。

久々の3連勝なので、しっかりと準備し、リフレッシュして次の試合に臨みたい。今は一人一人が自覚をもってプレーしている。今日は流れの中での得点というのもよかった。各紙の「阿部がいないから大変」という報道に対し、「そうじゃないぞ」というところを見せることができたと思う（笑）。