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#65

「小林新監督とともに。」鈴木健仁GM

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#65 小林新監督とともに。

なぜ、新監督は小林慶行だったのか

―― ありがとうございます。これも個人的な意見ですが、やっぱり“チーム”だけではなく、もっとサポーターの皆さんを巻き込んで新しいスタイルを一緒に作っていくという感覚が必要だと思います。観客動員数の減少はジェフの未来を考えても絶対に無視しちゃいけない現実であり、戻ってきてもらうためには魅力的なチームを作らなきゃいけない。しかも、それができなければ今のJ2リーグで勝つことはできない。

よくわかります。サポーターの皆さんがどんなことを感じているのか、それぞれの意見についてはわからないのですが、僕自身は、いつもフクアリに駆けつけてくださっている皆さんの姿を見て「もっと楽しんでもらいたい」「楽しませたい」という思いを強く持っています。ストレートに言えば、この3年間はその部分を提供することができませんでした。

先ほどからお伝えしているとおり、楽しんでもらうためにも、それから今の時代のJ2リーグで勝つためにも新しいスタイルを作り上げることが必要です。それを構築するために、小林慶行という新監督は適任であると僕自身は考えています。細江さんが言うとおり、今シーズンのロアッソ熊本やモンテディオ山形、それから2021シーズンの京都サンガF.C.もそうでしたが、J1昇格を争うチームのほとんどが相手ゴール前で「あ!」と思わず腰が浮いてしまうシーン、それが連続して起きるようなスタイルを確立していることは間違いありません。つまり、はっきりとした攻守の“型”を作って、相手をしっかり分析した上でそれを柔軟に当てはめていく。

ピッチに立つ選手たちの躍動感は、あくまで自分たちが主体性を持つサッカーによって生まれるものだと僕は思います。イビチャ・オシムさんは常にリスクを冒すことの価値を説いていたと思いますが、やはりそれは、自分たちが信じるスタイルがあって初めて、勇気を持って足を前に出せるという状態のことでもあると思いますから。

そういう意味で、この3年間のジェフはリスクを冒すチームになることができませんでした。僕はそういう性格をガラリと変えて、応援してくださる皆さんにサッカーを楽しんでもらいたい。「あ!」と腰を浮かしてしまう経験をたくさんしてもらいたい。ただし、尹監督とともに歩んだ3年間の積み上げを無駄にするようなことも、J1昇格という大きな目標から目を背けるようなことも絶対にしません。先ほどの話にもあったとおり、今のJ2リーグを勝ち抜いてJ1昇格を実現させるためには、主体的に戦うスタイルを確立し、リスクを冒す一歩を躊躇なく踏み出し、それによってサッカーを「面白い」「楽しい」と感じられる状態を作ることが絶対条件のひとつです。だからこそ僕は、チームの指揮権を尹監督のサッカーを知り、自身に新しいスタイルのアイデアがある小林慶行に託しました。

スタイルを追うことは、結果を追うこととイコールです。来シーズンは必ず、その変化を皆さんに感じてもらえるようなチームを作りたいと思っています。