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#111

「次のステップ。」カルメレ トレス監督

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#111 次のステップ。

いつも泣いてしまうんです

インタビュー・文=細江克弥
写真=高橋マナミ



―― 今シーズンのレディースは「とにかく面白い」と評判です。カルメレ監督にとって2年目の今シーズン、すごくいいチーム状態にある気がするのですが、どんな手応えを感じていますか?

今シーズンを迎えるにあたって、私自身もかなり大きな期待感を持っていました。新加入選手についても期待感の持てるタレントばかりでした。昨シーズンからの継続に加えて、新たなコンセプトを提示してさらなる変化を促すこともできる。そんなイメージを抱きながら、シーズンの始まりを待ち切れないくらいに楽しみにしていました。

―― チームの“積み上げ”をはっきりとイメージできていたんですね。

そのとおりです。新加入選手による戦力的なプラス要素と、それによって表現可能なプレーモデルの変化と進化、そのためのコンディション管理など、昨シーズンをあらゆる角度から分析した上で必要とされることのイメージは、かなりはっきりと持っていました。

キャンプはもちろんのこと、その後のプレシーズンでもイメージどおりの準備ができていたと思います。だからこそ、WEリーグの始まりを楽しみにしていました。

―― でも、ケガ人が出てしまったことでそのイメージを少し修正しなければならなかったんですよね。

そうなんです。この話をするとどうしても感情的になってしまうんですけれど……。

―― ゆっくり話してください。

ありがとう。いつも泣いてしまうんです(笑)。

曽根(七海)のケガ(※)はとても大きなショックでした。プレシーズンを通じて彼女はとても重要なプレーヤーの1人でしたし、彼女をチームの軸に据える形で素晴らしい準備ができていたと感じていました。監督としても、また全選手にとっても、頑張っていた彼女のことを知っているからこそショックの大きな出来事でした。

(※)8月23日のWEリーグ第1節vs日テレ・ベレーザ戦にて左膝前十字靭帯損傷

―― 曽根選手はアカデミー出身で、海外でのプレー経験を経て2年ぶりに復帰したばかりでした。

プレシーズンを通じて、曽根は私がイメージしていた“積み上げ”の部分をはっきりと表現してくれるプレーヤーであると感じていましたし、彼女が加わったチームの変化をとても楽しみにしていました。当初は1ボランチのシステムで戦うことを想定していたのですが、彼女になら安心してそのポジションを任せられると思っていましたし、実際に新しい形ができ上がりつつありました。

―― チームとしての戦い方をリセットする必要があった。

はい。そこから選手たちに“別の形”を提示し、納得と理解を得た上で自信を作り直す作業をしなければなりませんでした。少し時間はかかってしまったのですが、今のところは少しずつ、新しい形ができ上がりつつあると言えると思います。

―― 実際にはどのようなアプローチを?

戦術面においては、基本システムを4-3-3としながら、ビルドアップ時には右サイドバックに高い位置を取らせて“右肩上がりの3枚回し”としました。その上でシャドーの選手が下りてボランチのように振る舞う。そうした工夫によって新しい形のバランスを整え、選手間の距離が近づいたことでいいコンビネーションを生めるようになってきました。曽根がいる場合は1ボランチで同じようなバランスを作れていたので、変化としては決して小さくなかったと思います。それでも選手たちがうまく対応してくれましたし、やりやすさを感じて、少しずつ自信をつけて、ようやく結果につながるようになったというのがここまでの流れです。

―― それだけの変更に対してスピーディーに対応できたことが素晴らしいと感じるのですが、そういう意味では、やはり昨シーズンから丁寧に積み上げてきたことが生きていると言えるのでは?

そうかもしれません。昨シーズンは1年かけて本当にいろいろな方法にチャレンジしました。もちろんそのことによるメリットもデメリットもあるのですが、トライ&エラーによってものすごい情報量を共有していることは間違いありません。だからこそ、こうした変化に向き合いつつ、微調整によってアジャストさせることがチーム全体としてできているという感覚は確かにあります。



―― 対応力がついてきているという実感がある。

あります。今シーズンを戦う上でのベースは、間違いなく昨シーズンの積み重ねにあります。自分たちが時間をかけて作ってきた土台を生かすべきであり、実際のところ、選手たちのサッカーに対する理解力や技術、振る舞いについては1年前よりもかなり高い状態でスタートすることができました。

もちろん、まだまだ足りません。できないこともたくさんあります。それでも着実な成長を感じているし、多少の変化があっても選手たち自身が「イメージできる」という状態にある。そういう意味で、対応力は間違いなくついてきていると思います。