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#031

2018.9.20 Update!!

「なにくそ」の気持ちで。

船山貴之

苦しい状況にあるからこそ、思わず頼りたくなる男だ。
パフォーマンスには“波”がない。
勝っても負けても、常に全力。
その原動力となっている「なにくそ」の気持ちを、船山らしい素直な言葉で口にする。(取材日/2018年9月5日)
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インタビュー・文=細江克弥


船山貴之

そんなこと言ってる場合じゃない。

―― それでも結果が出ない時のイライラに、僕ら記者は試合後の取材エリアで思いっきり直面しているわけですけど。

船山そっとしておいてくださいよ(笑)。

―― いやいや、僕らにとってはそこが頑張りどころだから。

船山まあね(笑)。

―― もちろん、選手だからイライラして当然だと思うこともある。チームとして結果を出した試合でも、個人として納得いかなければイライラするだろうし、それは理解しているつもり。船山さんに対して「すごいな」と思うのは、どんなにイライラする内容や結果の試合でも、特に今シーズンはパフォーマンスが変わらない。

船山いや、それは俺だけじゃないし、本当に戦っている選手はいますよ。逆に、俺だって自分がちゃんと戦えていないと感じる試合もある。難しいな……。言いたいことがうまく表現できない。

―― 特に今シーズンは、強い責任感みたいなものを感じるというか。

船山うーん……。そうかな? だって、もう31歳だからね。静かにやっていてもアレかなと思うし、本当にジェフを上げたいと思っているから。

船山貴之

―― 監督については?

船山まだ何も終わっていない今の状況で何かを言うことはできないけど、少なくとも、フアン(エスナイデル)は選手のことを第一に考えてくれている。それは本当にすごいことですよ。選手のためのトレーニング、選手のための食事、選手のための休息。だから、選手に対する愛情を感じるという意味では、本当にリスペクトしてる。あの人のやり方は、すべてが選手中心。それって、日本人監督にはなかなかできないことだと思うから。

―― “サッカー観”としては? 特に今シーズンについては、いろいろと変化する中で、いろいろなポジションを任されている。

船山面白いですよ。面白い。いろいろなポジションができるし、いい意味で、いや悪い意味の時もあるけど、毎試合違うことを要求してくるし(笑)。俺にとっては、それが面白い。

―― ストライカーとしての葛藤は? 複数のポジションをこなすことで、“取ること”に専念できていない現状はあると思う。

船山1年目や2年目のことを言うなら、「取れるもんだと思っていたら取れなくなった」ということはありましたね。それは確かに、いろいろなポジションをやったことが影響しているかもしれないし、残念ではある。でも、ポジティブに考えれば「違う経験ができた」ということだから、それはそれでいいのかなって。ゴールがすべてじゃないし、いや、ある意味ではすべてかもしれないけど、違う何かを習得できたならいいのかなって。

船山貴之

―― その結果として、特に今シーズンは観ているこっちが「船山って万能だな」とつくづく思う。

船山そういう意味で自分が成長しているかどうかなんてわからないけど、とにかく、俺自身は面白いと感じてますよ。いろいろなポジションをやらせてもらえることは、それぞれに面白さがあるし、自分はそれを楽しめてる。だって、インテリオールもやってみたいと思うくらいですからね(笑)。

―― つまり、ポジションがどうこうなんて言ってる場合じゃない。

船山場合じゃないよ。そんなこと言ってる場合じゃない。痛いとか、システムがどうだとか、ポジションがどうだとか、そんなこと言ってる場合じゃない。さっきも言ったとおり、俺は「なにくそ」と思いながらサッカーやってるだけ。それしかないですよ、本当に。