苦しい状況にあるからこそ、思わず頼りたくなる男だ。
パフォーマンスには“波”がない。
勝っても負けても、常に全力。
その原動力となっている「なにくそ」の気持ちを、船山らしい素直な言葉で口にする。（取材日／2018年9月5日）
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インタビュー・文＝細江克弥

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自分の仕事を全力でやるだけ。

―― 今シーズンも残り11試合になりました。“可能性”について、感じていることを聞かせてください。

船山レノファ山口FC戦（第31節）については、ここ最近ではすごく良かった。距離感、タイミング、ディフェンスも集中していたし、そういうのすべて。あれが毎試合できるならチャンスがある。個人的にはそう思ってますよ。

―― まったく同感です。この際だから思い切って言うけれど、個人的には「なぜそれが毎試合できないんだ」といつも思う。

船山それはもう、言ってしまえばチーム全体としてのメンタルが弱いから。実際のところ、1点やられたら「またか」となってしまうことは多いし、そこから挽回する力、気持ちを切り替えてぐんと前に出る力みたいなものは、やっぱりまだ足りない。いい選手はいっぱいいるよ。本当にいいメンツがそろっていると思う。でも、その力はない。

そういう意味で、山口戦はそういう状況に追い込まれることを自分たちの力で回避したし、あれができれば勝てるんですよ。チャンスはある。ブレなきゃいける。俺はそう思う。

―― ブレない。

船山そう。ただ、そうやって目先の勝利に捉われてここから可能性をつなぎながらJ1に上がっても意味ない。1年でJ2に戻らないチームにしないといけないとも思う。それはやってみなきゃわからないけど、ただ一時的な結果を出すことより、絶対にブレない何かを作ることのほうが大事だと思うから。

―― それだけ、ジェフに対する思いが強い。

船山ジェフの選手である限り、当たり前でしょ。いや、わからないですよ。シーズンが終わって、もし魅力的なオファーが届いたら、いなくなるかもしれない。選手のキャリアにおいて“挑戦する”ということは、ものすごく大事なことだと思うから。むしろ、それが当たり前ですよね。まあ、そう言いながらも残るかもしれないけどね。それはわからない。

―― もしそうなっても、男気に期待してしまう。

船山それはわからない（笑）。

―― 最後の質問。今シーズンは多くのゴールを決めていることもあって、「成田の漢」というチャントを耳にする機会がとても多い。あれ、ぶっちゃけどう感じてます？

船山どう感じてるって……。

―― あれ、好きなんですよね。思わず歌いたくなる。というか、自宅で口ずさんだりする。

船山なんで？（笑）

―― 気持ちいいじゃないですか。

船山いや、恥ずかしいでしょ。

―― 恥ずかしい？

船山だって、俺、そんなに“成田”を強調してるわけじゃないし。

―― そんなに照れなくても（笑）。

船山いやいや、恥ずかしいでしょ（笑）。

―― でも、選手としては最高でしょ？　あの歌を聴いて、試合中にノッちゃっても不思議じゃない。

船山そんなわけない（笑）。疲れすぎて、試合に入り込みすぎて聴こえない時もあるくらいだから。

―― つまり何が言いたいかというと、サポーターは船山さんの“全力”をいつもちゃんと観てますよ、ということです。「船山、何とかしてくれ！」と思っている。

船山そんなことないよ。恥ずかしいもん。

―― リップサービスが足りないなあ。

船山俺、そういうの苦手だから（笑）。自分は自分の仕事を全力でやるだけですよ。それを見てもらえればいいかなって。