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#006

2015.11.6 Update!!

折れない心

佐藤 勇人

佐藤勇人選手

『JEF TALK』の特別篇。

今回は、Jリーグ通算400試合出場を達成した佐藤勇人選手に話を聞きました。“ジェフの佐藤勇人”として大きな記録に到達した今、何を思うのか。

“ジェフの佐藤勇人”として大きな記録に到達した今、何を思うのか。「これまでのこと」と「これからのこと」について、思いを語りました

(取材日:2015年10月30日)


“準備し続けたこと”の結果

佐藤勇人が、“ジェフの佐藤勇人”として「400」にまつわる2つの記録を達成した。

ひとつは、Jリーグ通算(J1・J2)出場数。そしてもうひとつは、ジェフでの公式戦通算出場数である。前者はJ2リーグ第38節のFC岐阜戦で、後者は同第28節のセレッソ大阪戦で、いずれも「400」という大台に到達した。

しかし勇人は、Jリーグ通算400試合出場達成を祝うセレモニーを「試合前は試合に集中したい」という理由で断った。そうした彼の“らしさ”は、デビュー当時から、おそらくずっと変わらない。足掛け15年。その変わらない“らしさ”こそが、「400」もの数字を積み上げてきた原動力に違いない。第38節のFC岐阜戦を終えた勇人に、その思いを聞いた。

── 以前から、「Jリーグ通算400試合出場」というよりも、「ジェフで公式戦400試合出場」に重みがあると話していました。

佐 藤「はい。理由は2つあります。まずは、Jリーグ通算400試合という記録は多くの選手が達成しているけど、ジェフのユニフォームを着てこの記録を作った人はいないということ。それから、それをアカデミー出身の自分が達成したということ。自分が好きなクラブでこういう記録を作れたことについては、素直に嬉しいですね」

── 「ジェフのユニフォームを着て」という意味では、アカデミー時代も含めればものすごい数になりますね。

佐 藤「そうですね。600? もしかしたら、もっとやっているかもしれません。プロになったばかりの頃、特に最初の1、2年は、自分がこんなに長くサッカーができるとは思わなかったし、こんなに多くの試合に出られるとも思いませんでした。というより、先のことを考えられる状態じゃなかった」

佐藤勇人選手

── 当時、今の勇人選手と同じ年齢くらいの選手に対しては、どのように見ていたのでしょう。

佐 藤「いや、特別な見方はしていなかったと思います。当時の自分には“野心”のようなものがなかったので、周りのことは特に気にならなかった。年齢的に言えば、今の自分と同じくらいだったのは、シモさん(下川健一/GK)とかですかね。もちろん、すごいなとは思っていました。日本代表経験もあるし、たくさんの試合に出てきた実績もある。でも、本当に自分のことしか考えていなかったし、他の選手のことを気にする余裕もなかったんだと思います。正直なところ、当時の自分は、とりあえず練習に行って、サッカーをやって、家に帰るという感じだったので、まあ……それじゃあ試合には出られないですよね(笑)」

── 1、2年目はほとんど試合に絡めませんでした。それでも、「400試合」という記録に到達することができたのは、どうしてでしょう?

佐 藤「単純に、準備し続けたことの結果だと思います。勝ちたいという気持ちを持ち続けた結果。客観的に見たら、つまらない生活を送っていると思うんですよ。試合に向けてのルーティーンが決まっていて、それを続けるだけ。でも、それが準備だから仕方がないし、言い訳をしたくないからこそ、しっかりと準備したい。反省するのはプレーに対してだけにしたいから、『なまけたい』と思ってもなまけないし、誘惑があってもそっちに目を向けない。それを続けてきた結果だと思います」

── “準備”に対して真剣に向き合うようになったのは、いつ頃から?

佐 藤「やっぱり、オシムさんとの出会いは大きかったと思います。常にサッカーに集中すること。『サッカーは人生と同じ』ということを常に言われていたので、普段の生活から、常にサッカーのことを意識して生活するようになりました。そのあたりから、自分の意識が変わっていった気がします」