UNITED ONLINE

#063

2022.2.13 Update!!

「原点回帰」に思いを馳せて

hummel新ユニフォーム誕生秘話

ヒュンメルが提案した「原点回帰」

制作に向けた動きが本格化したのは2021年4月のことだ。

社内では検討委員会が設置され、まずは運営、グッズ、広報、社会連携の各部署から代表者1名ずつがメンバー入りした。そこに、佐藤勇人CUO、さらに2019年からキット担当のチームマネージャーを務める後藤聖弥が“現場”の意見を伝えるために加わった。この委員会を仕切り、クラブの意見をまとめてヒュンメルとの調整役となったのが近藤だった。

メンバー入りの打診を受けた佐藤勇人は心を躍らせた。

「コンちゃんからそういう話をもらって、やっぱり、素直に嬉しかったです。自分は長くジェフにいるけれど、まさかユニフォームの決定にかかわる仕事ができるなんて思ってもみなかったから。ただ、メンバーに加わるだけじゃ意味がない。12歳からこのクラブにいる自分なりの愛着をちゃんと表現して、意見を伝えたいと思いました」



ちなみに社歴30年の大ベテランを佐藤勇人は事もなげに「コンちゃん」と呼ぶ。

「もうだいぶ長い付き合いになりますからね。自分がアカデミーに入った頃からすでにジェフで働いていて、現場スタッフとしても、ビジネススタッフとしてもずっとジェフを支え続けてくれた人です。昨日もクラブハウスの廊下で会ったので、記念に“出過ぎたお腹”を触っておいたんですけれど(笑)」

そのエピソードだけで、2人の関係性がよくわかる。

「そういう感じだから、みんなは『近藤さん』と呼ぶけれど自分はずっと『コンちゃん』。現場にいた頃のコンちゃんは、選手みんなに愛されるキャラクターでした。だから、本当は今でも直接的にチームに関わる仕事をしてほしいくらいですよ」

検討委員会とヒュンメルの担当者5名による第1回ワークショップは、2021年4月28日に開かれた。近藤は事前に「ジェフのすべてがわかる資料」を作成し、参加メンバー全員に共有した上で積極的な意見交換を促した。

「もちろん、前サプライヤーであるKAPPAさんがどういう思いでユニフォーム制作と向き合ってくれていたのか、その思いも引き継いでもらいたいと強く思っていました。だから、それが伝わる資料も加えました」

ちなみにこのワークショップにおいては、新モデルのキーコンセプトである「原点回帰」という言葉は出なかったという。

発信者はヒュンメルだ。ワークショップから約1カ月後、「原点回帰」をデザインコンセプトとする3つのデザイン案の中には、Jリーグ初年度モデルのユニフォームをモチーフとしたデザイン画があった。