2.16(日) 14:00 第20回
千葉
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( 4 PK 5 )
柏
フクダ電子アリーナ
試合終了
金曜日から土曜日にかけて襲った大雪のため、開催が危ぶまれたちばぎんカップだが、関係者の懸命な努力もあり予定どおり開催にこぎつけた。
シーズン開幕をつげる大会だが、ジェフにとっては特にここ数年、J1昇格へ向けた試金石としてプレシーズンマッチ以上の意義があるゲームといっても過言ではない。しかも、今シーズンはメンバーが大きく入れ代わったこともあり、ホーム・フクアリに詰めかけたサポーターは大きな声援を送ると同時に、時に固唾(かたず)を飲むかのように試合をチェックした。
注目のスタメンだが、GKは高木。バックラインは左から中村、山口(智)、大岩、天野。ダブルボランチに佐藤(健)と山口(慶)。攻撃的MFは左から山中、町田、兵働。ワントップにケンペス。新加入選手が4人(高木、中村、天野、山中)となれば、明らかに新しいチームといっても過言ではない。
沖縄キャンプから急ピッチでチーム作りを行ってきたジェフだが、2009年夏からネルシーニョ体制を続けているレイソルに対し、やはり完成度の差が大きく出た。決してテンポは早くなかったが、ディフェンスラインの裏を狙う攻撃をオフサイドにかかることなく効果的に仕掛けるレイソルに対し、ジェフは全体的に判断が遅くパスが回らなかった。昨シーズンのリズムが悪いときと同様に足元へのパスが多く、相手のディフェンスラインに引っかかっては逆襲をくらった。
「前半の立ち上がりからレイソルのスピードと、パワーで奪ってからの早い攻撃に構えるところが多く、あるいは切り替えのところが遅く、サイドの深いところまで攻め込まれることが何度かあった。ビルドアップのときにも、なかなか効果的なボールの動かし方できなかった」
そして、前半終了間際の45分、クロスに対して工藤が粘り、ゴールライン際の角度のないところからシュート。大岩もマークはしていたが、それを振り切るかのような工藤の技だったとはいえるが、チーム的には痛い失点を喫してハーフタイムを迎えた。
後半、ようやく新加入組も硬さが取れたのか、徐々に持ち味を発揮。特に、左サイドに位置する中村、山中の両選手がコンビネーションで崩し、クロスを送るチャンスが増えた。
また、基本的にはワントップがベースとなるジェフだが、59分には兵働に代えて森本を投入し、2トップにシフト。両サイドからのクロスに対し、ケンペス、森本の二人でゴールを狙うというメッセージだったはずだが、それ以上に効果的だったのが森本のポストプレーだろう。少し下がってボールを受け、相手のマークにもがっちりキープ。ボールを失わずに次の攻撃につなげられたことが、さらにチームにリズムをもたらしたといえる。実際、ボランチの佐藤(健)をはじめ、後ろから押し上げて厚みを持たせた。
その後、68分には町田に代えて田中、78分には佐藤(健)に代えて田代、88分には山中に代えて谷澤をそれぞれ投入し、さまざまな組み合わせを試した鈴木監督。この間、試合のほうは74分にPKからケンペスが同点ゴールを決めて試合を振り出しに戻したものの、結果的にはPK戦で敗れてしまった。もちろん、ホームゲームでの試合だっただけに勝負にはこだわりたいところだが、まずは内容を吟味する必要があるだろう。
両サイドバックが入れ代わった今シーズンだが、特に中村、山中は左利きということで、左サイドからの攻撃チャンスが増えそうな予感は十分。右サイドの天野も、チームに慣れれば持ち味を発揮するのではないか。途中出場の田代も大型ボランチで、特に攻撃面での魅力を感じさせた。GK高木も及第点。昨年からの在籍組では町田や兵働のキレがよく、森本もチームになじんできたといえる。
全体的には攻撃面で改善できそうなムードだが、少し物足りなかったのは兵働がアウト後。誰がゲーム全体をコントロールしていくのか、効果的なパスをサイドや前線に繰り出していくのか。とはいえ、新加入選手の特徴は垣間見ることができたし、それによって新しい味つけもできそうなことが分かった。開幕まで残り2週間。どれだけチームを仕上げられるか、鈴木監督の手腕にかかっていそうだ。