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#101

2025.11.22 Update!!

想いを懸ける。

杉山直宏

同じ絵を描くこと

―― 第36節の藤枝MYFC戦について少し聞きたいんですけど、あの試合はプレーしている選手も見ている人も消化不良というか、どうしてこのタイミングでそういう試合になってしまったんだろうという感覚がぬぐえないゲームだったと思っていて。

うん、そうですよね。わかります。

―― どのように振り返る?

そうですね……。まずはこっちが準備してきたことと相手のやってきたことが違う中で、そこで自分たちが臨機応変に対応する力が足りなかったのかなと。結果としてそう表現するしかないというか。今までも引いて守備を固める相手から点を取るところが課題だったと思うんですけど、前から来てくれるチームにはうまく“間”のポジションを取って、そこから素早く攻めるみたいな感覚を表現しやすいし、それがジェフの形だと思うんですけど。それができない時のオプションはもっと必要ですよね。

―― そうですよね。ただ、それってジェフだけじゃなくどのチームにとっても簡単じゃない課題で、ああいう時に「何をどうすればいいのか」の答えはその試合によってもぜんぜん違う。だから簡単じゃないわけですけど。

方法はたくさんあると思うんです。相手が引いて守っているといってもこっちが攻め込まれる場面も必ずあるわけで、だからカウンター一発で仕留める決定力をつけなきゃいけないし、引かれた状態ならミドルシュートが有効ですよね。あとは、少し難しいけど中央の狭いスペースでのコンビネーションみたいなものは効くと思うんですけど、やっぱり難しいので、それをやるためにもカウンターとかミドルシュートが大切で。

杉山直宏

―― つまり、そうやって考えられる攻撃のバリエーションの使い分けられる“駆け引き”がもっとうまくならなきゃいけない。

そうですそうです。しかも常に先手を取ることが大事だと思っていて。

―― 確かに。

一番ダメなパターンって、焦ってシュートを打たされることじゃないですか。それって完全に後手に回ってしまっているということなので、やっぱり、そういう意味でも主導権を握り続けることが大事なのかなと。

―― 技術よりもメンタリティー。

まさに。もちろん技術も必要ですけど、まずはそっちかなと。絶対に焦れないメンタリティーというか。しかもそれをピッチに立っている全員が共有することが大事で、結局、そういう相手を崩して点を取るために必要なのは“同じ絵を描くこと”だと思うんです。自分がボールを持って顔を上げた瞬間に目が合った選手と同じ絵を描けていたら、それだけで崩せちゃうものだと思うので。でもその絵が違ったらどうしてもズレてしまう。

―― 特に、途中出場する時は“打開”を求められることが多いと思うんですけど、やっぱりそういうことを考えながらピッチに入っている?

そうですね。どうしても1点ほしいという状況で試合終盤のピッチに入ると、どうしてもチーム全体が焦っている感じで、なかなか同じ絵を描くことが難しい状態だと思うので。自分の役割としては“何かを変えること”だと思うんですけど、それってなかなか難しくて、だからこそ日頃からのコミュニケーションによって作り上げた関係性が大事になるというか。

―― そっかそっか。その関係性によって「ナオならあのタイミングで切り返す」とわかっていれば、その瞬間に同じ絵を描きやすい。

はい。そういう意味で、試合終盤の難しい状況でピッチに立つことになっても、昨シーズンよりはずっとプレーしやすくなりましたし、自分のことをみんなにわかってもらえているという実感があります。