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2014.7.1 Update!!
佐藤勇人 × 岡本昌弘
── でも、アカデミーでの厳しい競争を勝ち抜いてきたわけですから、プロになれると分かった瞬間は感慨深いものがあったのでは?
勇 人いや、自分の場合はすごくイライラしていたんです。
── というと?
勇 人高校3年の夏くらいからトップチームの練習に参加して環境にも慣れていたので、プロとして契約してもらえることが分かった時も特別な嬉しさは感じませんでした。生意気ですよね(笑)。今だから言えますけど、僕と同学年では阿部(勇樹/浦和レッズ)がすでにトップデビューしていて、弟の寿人も早くからトップチームに上がることが決まっていました。でも、自分の場合はものすごくヤンチャだったこともあって、どうやら会議になったらしいんですよ。「アイツをトップチームに上げたら問題を起こすぞ」って(笑)。
── なるほど(笑)。
勇 人だから、自分の場合はすごくギリギリのところでトップチームに上がることができた。ただ、そう見られていたことに対してイライラしていたというか。
岡 本それ、自分のせいじゃん(笑)。
勇 人それくらいトガッてたってこと。
岡 本「ナメんな!」って感じでしょ?
勇 人そう(笑)。そのことで、両親とも言い合いになったくらい。
── でも、それだけ自分の実力に自信があったということですよね。
勇 人これも今だから言えますけど、当時はトップチームが低迷している時期だったので、調子に乗って“上”から見ているところがあったんです。だから、J1にギリギリ残留するようなチームに、ギリギリの状態でトップチームに上げてもらうことをどうしても受け入れられなかった。今思えば、本当にふざけたヤツですよね。
── いや、いいと思いますよ。それくらいの反骨精神がなきゃ。
勇 人両親からは、「トップチームに上げてもらえるだけ、ありがたいと思え」と言われました。まあ、そのとおりですよね(笑)。
岡 本僕の場合は、勇人くんとは違って優等生……ではないですけど。
勇 人ではないね。
岡 本(笑)。僕も高校3年の夏くらいからトップチームの練習に参加させてもらったんですけど、すごく切ない思いをしました。
── 切ない?
岡 本はい。高校生とプロでは、フィジカル的にも、技術的にも大きな差がありますよね。それがものすごく切なくて、悔しくて。だから、トップチームに上がれることを喜ぶというより、とにかく悔しい、早く上手くなりたいという思いしかなかった気がします。
── じゃあ、表現方法は違うとしても、勇人選手と同じくらい負けず嫌いだったんですね。
岡 本はい、負けず嫌いですね。