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#001

2014.7.1 Update!!

ジェフ"らしさ"を想う。

佐藤勇人 × 岡本昌弘

イビチャ・オシム

── 正直に言えば、姉崎はメディアの人間としても取材に行くのが大変でした。でも、チームが一気に強くなっていったのはあの頃ですよね。イビチャ・オシムさんが来て、強くなって、メディアが殺到するという日々は、ある意味、選手たちにとっても異様だったのでは?

勇 人そうですね。オシムさんを含めて、いろんな人がよくあそこまで来てくれたなと思います。でも、姉崎だからこそ培うことができたハングリー精神みたいなものって、やっぱりあったと思うんです。グラウンドを転々としなければならない時期もあったし、それに対して選手としての意見や要望を言ったこともありました。でも、簡単に変えられることじゃないから、やらなきゃいけない。そういう精神的なハングリーさが、あの頃のチームにはあった気がします。

岡 本確かに、そうかもしれないね。

勇 人難しいところだけどね。もちろん環境としては今のほうが圧倒的に充実しているわけだし、自分らはそれを望んできたわけだから、そういうところをしっかりと受け止めて考えないといけない。

岡 本うん。

── 分かります。サッカーはメンタル的にいい状態にあるからと言って結果が出るスポーツではないし、戦力が充実しているだけでも、いい指導者がいるだけでも、環境が整っているだけでも勝てない。いろんなものが複雑に絡み合って、その結果として勝ち負けがあるわけですから。

勇 人そうですね。そういう部分は、昔と今をよく知っている僕らが強く感じているところでもあります。

── ただ、あの頃のジェフを作った重要な要素の一つとして、オシムさんという監督の存在があることは間違いありません。

勇 人そのとおりですね。

岡 本本当に強烈だった。すごかったですよ。だって、常にキレてるんだもん(笑)。

勇 人あの独特の緊張感ね。

岡 本そう。でも、改めて、本当に偉大な人だと思う。

勇 人オシムさんは、選手のこと、チームのことだけを考えているわけじゃなくて、常にクラブ全体のことを考えているんですよ。

── なるほど。

岡 本それが僕らにも伝わってくるからこそ、緊張するというか。

勇 人だから、誰一人として文句を言わなかった。試合に出ている選手も、出ていない選手も。常に「見られている」という感覚があるから、その視線を感じて緊張感を保てるし、モチベーションを維持することができる。一人ひとりへの配慮。それも選手だけじゃなく、クラブのスタッフにまで。

── オシムさんが来た瞬間から、そういう信頼関係を作ることができたんですか?

勇 人いや、最初は全然。ぶっちゃけて言ってしまえば、「なんだ、このデカいオヤジ」という印象でした(笑)。キャンプに遅れて合流して、いきなりキレてるし、無愛想だし、挨拶もない。練習はめちゃくちゃキツいし、罰走までさせられて。「これじゃあケガ人が出るぞ」って、みんなが文句を言っていました。でも、いざシーズンが開幕して試合をすると、結果はどんどん出るし、めちゃくちゃ面白いんですよ、サッカーが。