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#001

2014.7.1 Update!!

ジェフ"らしさ"を想う。

佐藤勇人 × 岡本昌弘

ブラボー!

佐藤勇人

── 当時、「オシムさんのトレーニングは全く同じメニューがない」ということが話題になりました。選手たちは、そのことにどのタイミングで気づいたんですか?

勇 人いや、厳密に言うと同じメニューもあったんです。ただ、そのトレーニングの意図や目的が毎回違うから、結果的には違うトレーニングをやっているような感覚になる。

── なるほど。

勇 人とにかく選手たちに考えさせるんです。例えば、攻守に分かれる3対3のトレーニングがあって、他の選手たちは周りを囲んで見ていますよね。そうすると、オシムさんがいきなりキレる。

── キレる?

勇 人「お前はどうしてそこで突っ立って見ているんだ! お前が参加して、4対3にしてやればいいじゃないか!」って。

── それは難しい(笑)。

岡 本でも、すごいのはここからですよ。その日は結果的に“飛び入り参加アリ”の4対3のトレーニングになったとして、またある日、同じように3対3のトレーニングをやる。当然、選手たちは先日の練習を思い出して“飛び入り参加”しますよね。4対3にするために。でも、今度は別の誰かが機転を利かして守備側で“飛び入り参加”する。

── そうすると、3対3の練習がいつの間にか4対4になりますね。つまりオシムさんは、自分で状況を見極めて判断しろということを言っている。

勇 人そうなんですけど、4対4になった時点でオシムさんがまた怒鳴るんですよ。

岡本昌弘

── どうして?

勇 人最初に“飛び入り参加”した攻撃側の選手に対して、「どうして加わったんだ! お前のせいで守備の人数を増やすことになったじゃないか!」って(笑)。

── うーん……それはとんでもなく難しいですね(笑)。

勇 人だから、同じメニューでも選手たちに考えさせて、判断させることでどんどん変わるんです。

岡 本ルールは一応決まっているんだけど、いかにそれを破るかも問われているんですよね。ルールはあってないようなもの。

勇 人だから、例えば“飛び入り参加”の判断が正しい時は、オシムさんからの「ブラボー!」をもらえる。あれ、めちゃくちゃ嬉しいんだよな。

岡 本あの嬉しさはハンパなかったですね(笑)。でも、「俺、1ブラボーもらった!」みたいな感じで調子に乗っていると、また怒られる。

勇 人そうそう。あれはヘコむよな(笑)。