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2014.7.1 Update!!
佐藤勇人 × 岡本昌弘
── “観る側”としては、フクアリの雰囲気の良さはJリーグ全体でも屈指だと思います。だからフクアリは、後半に試合が動く。0-1で負けている後半、もし75分に同点に追いついたとしたら、そこから15分間の「フクアリ劇場」は必ずと言っていいほどドラマが起こる。あの雰囲気は、選手にとって格別なんじゃないかと思います。
勇 人間違いないですね。僕らはフクアリが満員だった頃にその「劇場」を経験しているのでよく分かります。ただ、だからこそ、お客さんが少しずつ離れつつある今は責任を感じています。自分たちで結果を残さないといけないし、あの頃のフクアリを取り戻したい。
岡 本自分たちで落としてしまっているし、何とかしなきゃいけないという気持ちは強く持っています。このチームでまた強くなりたい、上に行きたいという思いがあるので、今は結果を出せなくて苦しんでいるけど、そこを何とか乗り越えたい。
── 迷ったことはありませんか? このクラブにいることを。
岡 本マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)からオファーがあったら行きますよ……いや、勇人くんがいる限り、俺もここにいるかな。
勇 人ヘンな話すんなよ(笑)。
岡 本(笑)
勇 人確かに、自分らは強かった時代を知っているけど、それって自分たちのサッカー人生と比べたら本当に短い期間だと思うんですよ。逆に、苦労した時期、うまくいかない時期、うまくなるために我慢して努力した時期のほうが圧倒的に長い。でも、それを知っているからこそ、良かった頃に戻れるという自信があるし、戻りたいと強く思う。良かった頃を知らなければ、どこに向かえばいいのか分からなくなる。でも、自分らはそれを知っているから、目標を見失わずに済む。
岡 本そうだね。さすが勇人くん(笑)。だからこそ俺らが、チームの先頭に立ってそこに戻さなきゃいけない。
── 以前から、勇人選手は「ジェフのスタイルを作りたい」ということを言っていますよね。確かに、世界で言えば、スペインのバルセロナ、Jリーグならサンフレッチェ広島のように、ブレないスタイルを確立しているチームは結果を残している傾向にあります。お二人が考える“ジェフらしいサッカー”とは?
岡 本それもやっぱり、オシムさんの時代に引っ張られてしまうところがありますよね。あの頃がジェフにとって“いい時”だったから、「考えて走るサッカー」という言葉が出てくるのは仕方ない。でも、今のチームにオシムさんはいないし、あの時代を知っている選手も俺と勇人くんくらいしかいない。だから、オシムさんの時代を引き合いに出されても、「そんなことを言われても」と思う選手もいると思うんです。
── 分かります。
岡 本あくまで個人的な考えですけど、やっぱりジェフは、新しい時代を作っていかないといけない。そうするためにどうすればいいかをいつも考えているし、とにかく前向きにやることが大切だと思うんですよ。もちろん、そう簡単にはうまくいかないですけどね。
── はい。スタイルを確立して“らしいサッカー”を浸透させることほど、難しいことはないと思います。
勇 人難しいですね。ただ、探し続ける時間が長すぎてもダメだと思う。確固たるスタイルを築くことがチームを強くするための近道であると分かっているからなおさら、このクラブに関わるすべての人が同じ方向を向かなければいけないですよね。今はまだ、その過程にある気がします。