クラブ史上初となる戴冠まであと一つ。
『2016プレナスなでしこリーグカップ1部決勝戦』は9月3日(土)、味の素フィールド西が丘にて午後7時30分よりキックオフされる。
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの対戦相手は、昨シーズンのリーグ女王“日テレ・ベレーザだ。ジェフレディースにとって最大の難敵との対決となる。
準決勝のベガルタ仙台レディース戦では、開始3分、右コーナーキックを菅澤優衣香が頭で合わせて先制すると反撃に出るベガルタの攻撃を最後まで抑えきり、1対0の無失点で勝利をした。
三上尚子監督は言う。
「ディフェンスを集中してできたこと、早めに1点取れたことで落ち着いてゲームができたと思います。苦しい時間帯が多かったんですが、粘り強く最後までできたかなと思います」
前線から連動してプレスをかけ、中盤は攻守の切り替えを意識し、守備ラインは勇気を持って高い位置取りをした。
勝利への執念を全面に押し出した必然の結果だった。
しかし、予選リーグからここまでの9試合を振り返っても楽な試合など一つもなかった。選手は、ただひた向きに目の前の戦いに全力で挑んできただけだ。トレーニングの中で流してきた汗や涙は裏切らない。勝つことでそのことを証明してきた。
対する日テレは、準決勝では浦和レッズレディースを相手に4対0と快勝し決勝戦に駒を進める。とりわけ攻撃陣が好調で、籾木結花と田中美南はカップ戦で4得点を記録。またセットプレーに強い阪口夢穂など注意すべき選手は多い。
これらの危険な選手らに前を向かせず封じることが重要だ。キャプテン櫻本尚子を中心とした粘り強いディフェンスと選手の高い集中力で、最後までゴールを守り好機を生かしたい。
また、今シーズン、日テレとは1分3敗と負け越してはいるが、1つのミスを全員でカバーし、逆境を底力に変えることで流れを呼び込むことは可能だ。今のジェフレティースは、それが当たり前に出来るチームであり、“戦う集団”としての集合体になっている。
しかし、カップ戦第4節の対戦では0対4という非常に悔しい負け方を喫している。決勝の舞台はまさにその悔しい負けを喫した味の素フィールド西が丘。全員が晴れの大舞台でリベンジを果たしたいという気持ちでここまで勝ち上がってきた。
「何がなんでもどんな形でもいいからボールを奪いにいくということ、局面局面で負けないこと、あとはチーム一丸で、一人ひとりの力では劣るけどみんなが集まれば」と守護神の山根恵理奈は意気込みを語った。
チームの可能性を信じているのは、他でもない選手自身である。
決勝の舞台に立つ喜びを噛みしめながら、すべての思いや願いをこの一戦に結集させて夢のタイトルを自らの手で掴み取ろう。
力を一つに『WIN BY ALL!』
三上 尚子監督
(決勝進出について)グループリーグでの戦いを通じて、ディフェンス面での「全員で守る」というところをしっかり積み重ねてくれた成果が出ていると思います。特に今、ボランチに対する要求は高くて、後ろも前も両サイドもということで、両サイドも含めて中盤の選手の運動量によってボールを奪えている部分があるので、そのあたりについては狙いどおり出来ていると思います。
(苦しみながらも決勝まで勝ち上がった要因は)選手が割り切って戦ってくれているところが大きいかなと思います。今のこのチームで、このメンバーでやらなくてはいけないことを選手がしっかり理解して、勝つことでそれを継続できているという部分が大きいと思います。
(決勝で対戦する日テレ・ベレーザの印象は)「うまい・速い・強い」です(笑)。すべてを持っているチームだと思います。ボールを持たれる時間は(相手の方が)長くなると思うので、それに対して慌てず粘り強く我慢強く、その中でもチャンスは絶対出てくると思うのでそこで決め切れるかどうかの決定力の部分で勝負できたらいいなと思います。
(初めてのタイトル獲得に向けて)簡単には獲れないですし、今季4回戦って勝ててない相手というのもあります。ただ、前回タイトルを懸けて戦ったのが4年前(※2012年の皇后杯で決勝に進出し敗戦)になりますが、またそのチャンスが巡ってきて(前回の悔しさを)どこかで活かさなくてはいけなくて、それが今回だと思っていてそれは選手も同じだと思うので、今やれることをしっかりやりたいと思います。
山根 恵里奈
(チームの雰囲気について)「出来る、出来る」という声をかけている選手がたくさんいて、固くなっているという印象はまったくないです。キックオフ前の円陣で突然騒ぎ始めたりするチームですからね(笑)。勝たなければいけなかったグループリーグの最終戦でも後半開始前の円陣で騒ぎまくってましたから。試合直前にあんなに笑みのこぼれる円陣をするチームはないと思います。そういう雰囲気は常にあります。
(日テレ・ベレーザの印象は)勝てないです(笑)。誰もが「ジェフの優勝はない」と思ってると思うし、個の能力というか技術のレベルも桁違いで、すごいチームだなと思います。
前回の(グループリーグでの)0-4で負けた思い出があるので、準決勝のベガルタ仙台戦でいい形が出来ていたとはいえ、同じようにいかないだろうと思っています。もっと押し込まれたりピンチになるシーンがたくさんあると思うので、しっかり準備をしなければいけないと思っています。
上野 紗稀
(ここまでのカップ戦の戦いを振り返って)自分たちが入っていたグループは強豪チームばかりで(決勝トーナメントに進める)上位2チームに入るのは大変だと思って挑みました。最初は勝ち上れるのか自分の中では不安でしたが、決勝トーナメントに勝ち上がれたのはチームのまとまりが出来たからだと思います。グループリーグで日テレ・ベレーザに0-4でやられたというのはチームの中でもショックなことで、そこからどうやって立ち直っていくかがポイントでした。(その中で)INAC神戸戦に勝つことが出来なかったら可能性がなくなっていたので、あの試合に勝つことが出来て今があると思います。
(自身のここまでのプレーについて)昨季に比べて今季は裏を取られないようにと思って臨んでいるんですが、昨季よりは少なくなりましたが、まだまだ裏を取られたりもしているので、そこは自分のポジショニングだったり前の選手を動かしたりしてすることが必要かなと思います。攻撃に関しては上がっていくタイミングをうまく作るということがまだ出来ていないので、それは今後いいタイミングを自分の中で見つけていって攻撃参加できたらいいかなと思っています。
(決勝で対戦する日テレ・ベレーザについて)細かくパスをつないできて、とにかくうまいです。隙があるとそこに選手が入ってくるのでスペースを与えないというのはもちろんのこと、相手のキーマンは阪口選手だと思うのでそこにボールが入ったときにどうやって守っていくかがポイントになってくると思います。
櫻本 尚子
リーグ戦では自分たちが自信を持っている守備の部分で失点数が増えたり粘り強さを出せなかった部分が多かったので、カップ戦ではまずは守備というところを再確認しました。守備を固めるというよりは、自分たちが自信を持っている「走る、闘う」という部分で前線からのプレスだったり、守備を含めて攻撃につなげるところを監督がチームに浸透させてくれたので、チームが同じ方向を向いてやれているのかなと感じています。
私自身は、チームの危機感だったりやってきたことを一回リセットしてもう一度やろうという意味で、グループリーグのベレーザ戦での敗戦(0-4)が糧になったのかなと思っています。決勝トーナメントに上がれるかどうかという頃に「ベレーザとやろう。絶対仮を返そう」という声が円陣の中でも出てきて、それが自分たちが勝つための一番の源だと思います。
タイトルを獲りたいという部分でずっとやってきましたが、4年前の皇后杯では目の前に優勝が見えていたのに悔しい思いをしました。その次のシーズンからキャプテンをやらせてもらって、あの悔しさを糧にキャプテンとして優勝に貢献したいなと思いはずっと持っていて迎える大舞台なので、気負わず、カッコつけるとあまりいいことないので(笑)、ジェフレディースらしく、勢いだったりサッカーを楽しんでいるプレーをピッチで表現できたらなと思います。
千野 晶子
守備については練習から厳しくやっていて、それが結果につながっていると思います。
ベレーザは、プレッシャーをかけに行ってもプレッシャーになっていないというか、自由にボールを持てるチームという印象です。なかなかボールが奪えなくて間合いが難しい相手なので、突っ込み過ぎると剥がされるし突っ込み過ぎると(ボールを)運ばれるしパスも出されるし、そういうのはうまい選手ばかりなので自分の間合いを見つけながらやっていきたいです。相手が波に乗ると止められなくなるのでファーストプレーが大事かなと思います。チャンスがあればゴールも狙っていきたいと思います。
深澤 里沙
カップ戦はリーグ戦とは違ってトップで使ってもらえることが多くて、そこで出場するからには点を取るということを自分では意識しています。そこがうまく点を取ることにつながっていると思います。
(守備面で意識していることは?)チームとして最初の10分から15分はしっかり前から行こうと言われているのと、引いてしまうとなかなか勢いに乗っていけないというところがあるので、勢いを出すためにも前から行こうというのは意識しています。
ボランチがしっかり動いてくれているのと、1人1人が自分のやるべきことをしっかりできていると感じています。
(日テレ・ベレーザについて)いつの時代もやっぱり「ベレーザはベレーザ」で王者だと思います(笑)。それでも年々、ジェフが勝てる試合があったり引き分けることがあったりと、手が届くところに来ている部分もあるしまだまだと感じることもありますが、今季5回目の対戦が出来ることを嬉しく思いますし、今回こそ勝ちたいと思っています。そのためには粘り強く守備から入ってまずは相手をゼロで抑えること、そしてカウンターなどでしっかり1点を取ることだと思います。
(サポーターに向けて)いつも応援ありがとうございます。ジェフレディースとして決勝に進んで、あと一歩でタイトルが獲れるところまで来ました。優勝に向けて頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします!
菅澤 優衣香
土曜日の試合に向けて100パーセントの力が出せるようにと思ってますし、チーム全員で優勝目指してやるだけなので、うまく持っていければいいなと思っています。
(決勝戦では)準決勝での後半の戦い方がベストだと思っています。決定機を決め切るというのがひとつの課題で、あとはボールを動かす、ゴール前までのボールの持っていき方、守備の部分は継続してやっていきたいと思います。どっちかと言えば守備の時間が増えると思いますが、そこをいかに耐えるかという部分とボールを奪ってからどうゴールに持っていくかというのがポイントになると思うので、ミスを減らして攻撃のときには勢いをもってゴールに向かいたいと思います。
(前線からの守備について)正直キツい部分はありますが、ジェフの守備は前線からの守備でスイッチが入るのでチームのために次の試合もしっかりやっていきたいですし、相手のボールの動かし方などを見ながら行くところと行かないところをきちんと判断して、ガムシャラ過ぎないようにやりたいと思います(笑)。
(攻撃面では)ほんとにベレーザは穴がないです。ほんの一瞬のプレーでゴールまでいけるかいけないかということになると思うので、そこを見逃さないように集中してプレーしたいと思います。
シーズン前にケガとかもあって試合に出ても慣れない部分がありましたが、最近は動けるようになってきました。でもまだケガをする前の100パーセントの状態にはなっていませんが、ゴールに向かうプレーを増やしていかないといけないと思っています。
選手コメント動画