勝負を決める1点が“不運”な形で生まれたことを考えれば、リーグ再開後の初戦で突きつけられた敗北という結果は悔やまれるものだ。
それでも、内容は決して下を向く必要のないものだった。試合後の尹 晶煥監督は、そのことを強調した。
「守備の安定をテーマとしてそれを中心に準備してきたのですが、失点してしまったとはいえ、ある程度は安定した守備を見せることができたと思います」
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右からゲリア、チャン ミンギュ、増嶋竜也、下平 匠の4人。
中盤の中央には田口泰士と高橋壱晟が並び、右サイドにはアラン ピニェイロ、左サイドに堀米勇輝が位置。
2トップには山下敬大とクレーベが入った。欠場した熊谷アンドリューに代わって、田口がゲームキャプテンを務めた。
指揮官の言うとおり、ジェフの組織的な守備を軸としてカウンターを仕掛けるジェフのサッカーは前半の立ち上がりから機能した。
相手ボールの際にはしっかり構えてゾーンを埋め、ミスを誘ってカウンターを仕掛ける。
マイボール時には3-4-2-1システムを採用する大宮に対し、ジェフは両サイドMFをうまく使いながら相手を引き出そうとした。
そうして生まれたスペースに飛び込む形で、いくつかのチャンスを作った。
21分には左サイドからチャンス。下平からの縦パスに反応した堀米が突破を図り、CKを獲得する。
続いて28分には前線からのプレスで相手のミスを誘い、ショートカウンターを仕掛けて好機を演出。
守備から攻撃への切り替えの意識を、チーム全体でしっかりと共有していることが伝わってきた。
大宮アルディージャで存在感が際立ったのは、2列目の右サイドに位置したイッペイ シノヅカだ。
31分にはボール奪取から鋭いドリブルを仕掛けてフィニッシュまで。キレのある切り返しと縦に速いドリブルは、ジェフにとって大きな脅威となった。
また、ジェフと同様に大宮の守備も強固な組織力を見せた。3バックはいずれも対人に強く、守備時にはその脇に両ワイドが下りてブロックを作る。
立ち上がりこそチャンスを作ったジェフだが、その後は相手のブロックを攻略できず、シュートチャンスを作ることができなかった。
唯一の失点は、前半終了間際にアンラッキーな形で生まれた。
大宮のFK。小野雅史のシュートはブロックに入ったジェフの選手に当たってコースが変わり、高橋壱晟のクリアはうまくミートせずそのままゴールに飛び込んだ。
迎えた後半、高温多湿の厳しい環境でのプレーから両チームとも運動量が落ち、前半と比較してスローペースで進んだ。
尹監督が動いたのは71分。ゲリアに代えて田坂祐介、アラン ピニェイロに代えて米倉恒貴を投入し、攻撃の活性化を図る。
ジェフは前半と同様にカウンターからいくつかのチャンスを作ったが、大宮の組織的な守備を崩すことができなかった。
ゲームキャプテンを務めた田口が振り返る。
「もうちょっとゴールに向かう姿勢、ゴールに向かわなきゃいけない。シュートも少なかった」
86分、ジェフは下平に代えて新井一耀、堀米に代えて川又堅碁を投入し、3-4-3の攻撃的なシステムに切り替えた。
しかし最後までゴールを奪えず、0-1のまま敗北。特別な一戦を、勝利で飾ることはできなかった。
結果は出なかった。しかし内容には手応えがあった。これを勝利につなげられるかどうかが、次のゲームにおける課題だ。尹監督が言う。
「再開後最初の試合だったので多くの人が期待して見てくれたと思うので、いい結果を得られず申し訳なく思います。しかし、これからもっと良くなると思っています。多くの人の期待に応えられるように努力します。」
次節は7月4日。敵地で行われる水戸ホーリーホック戦に挑む。