もう一度、前へ。
突きつけられた現実は、指揮官にとっても受け入れ難いものだった。
それでも、立ち止まっているわけにはいかない。
組織の先頭に立つ指揮官として、チームを前に進めなければならない。
変化を見極めて最適解を導き、組織の和をもって「一戦必勝」の姿勢を貫く。
その強い意志と決意だけは、変わることがない。
インタビュー・文=細江克弥 Interview and text by Katsuya HOSOE
写真=佐藤博之、浦 正弘、小林 靖 Photo by Hiroyuki SATO, Masahiro URA, Yasushi KOBAYASHI
結果を現実として受け入れ
頭と心を切り替える
まずは昨シーズンのことから振り返っていただきたいのですが、J1昇格を懸けたプレーオフは非常に残念な結果に終わってしまいました。
関 塚そうですね。ただ、結果は結果として受け止めなければならないと思っていますし、切り替えて前を向くしかないと思っています。もちろん、プレーオフが終わってからは、結果を受け止められない日々が続きました。先制点の取られ方や最後までゴールを奪えなかった展開を含めて、あの試合のすべてをなかなか受け入れられませんでしたし、今もまだ、悔しさを持っています。それでも、結果が出てしまった以上、私たちは次の戦いのことを考えなければならない。私自身、昨シーズンの最後の全体ミーティングが終わった時点で切り替えなければならないと思いました。
モンテディオ山形とのJ1昇格プレーオフ決勝の後、選手たちにはどのような言葉を掛けたのですか?
関 塚「これが現実だ」ということしか言えませんでした。自分たちが目標としてきたことが達成できず、現実を受け止めなければいけないと。
それでも、関塚さんが監督に就任されてからのシーズン後半戦は、チームの調子も少しずつ上向いてきました。
関 塚就任直後の夏場は、なかなか勝ち切れない状態が続いていましたよね。9月、10月になって、ようやく結果に結びつき始め、チーム全体が一体感を持って前に進んでいることを感じていました。第20節終了時点の順位は13位でしたが、それから一つずつ、少しでも上を目指して戦おうという意識を共有することができたし、その点については手応えを感じていました。私自身、ホームでは1万人を超えるお客さんの中で戦える喜びや充実感を感じていましたし、サポーターの皆さんとも一体となって目標に向かうことができたと思います。
そうした雰囲気は、外から見ていても感じることができました。ただ、「どうしても勝たなければならない試合」で勝ち切れないという状況もあったと思います。
関 塚印象に残っているのは、アウェイの京都サンガF.C.戦(第30節)です。先制しながら逆転され、それでも再逆転に成功した試合でしたが、最後の最後に同点ゴールを決められて3-3のドローに終わりました。あの時期は、就任当初から少しずつ選手個々やチーム全体を探りながら把握し、試合を重ねながらようやくそれが見えてきた状態で迎えた試合でした。だからこそ、逆転しながら勝ち切れなかったという結果について深く考えましたし、こういう試合で勝点3を手にするチームにしなければならないと強く感じた試合でした。当時のチーム状況をよく表している試合でしたし、私自身、とても悔しい気持ちを抱えながら決意を強くした一戦でした。ただ、過去のことを振り返っても仕方のないことなので、今はもう、今シーズンの戦いに向けて気持ちを切り替えていますよ。我々はもう一度チームを作り直して、目標に向けて前に進まなければなりませんから。
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