

第7節
SAT
KICKOFF
試合終了
ロアッソ熊本 - 1
- 0
ジェフユナイテッド市原・千葉
0 | 前半 | 0 |
1 | 後半 | 0 |
VIDEO
REVIEW

決定機を決められず 終盤のPKに屈する
ロアッソ熊本と敵地で対峙した第7節。90分を通じて数多く作り出した決定期を決めることができず、試合終盤にPKを献上。この1点に沈んだジェフは、勝点を持ち帰ることができなかった。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは鈴木椋大。最終ラインは右から髙橋壱晟、久保庭良太、鈴木大輔、日高 大の4人。中盤の底に加入したばかりの品田愛斗と小林祐介が並び、2列目には右に田中和樹、トップ下に横山暁之、左に椿 直起が位置。1トップには小森飛絢が入った。
ボールの主導権争いという意味においては、それを得意とする相手に主導権を握られた前半だった。
ボール保持時に3-4-1-2の布陣を敷く熊本は、序盤、最終ラインと中盤の底に位置するMF豊田 歩を起点とするパスワークでの前進を試みた。それに対してジェフはパスコースを限定して同数の局面を作り、得意とするプレスでボールを奪ってショートカウンターを仕掛けた。8分には横山と小森の縦関係のパスワークから左サイドに展開。椿のクロスは走り込んだ田中の足下にピタリと落ちたが、ボレーシュートは惜しくもゴール上に外れた。11分にも狙いどおりの守備から鈴木大輔がインターセプト。その後のコントロールミスでボールを失ったものの、狙いどおりの守備ができていた序盤はジェフのペースになりかけていた。
しかし、13分を過ぎたあたりから熊本がビルドアップ時の立ち位置を変更する。MF豊田とMF上村周平のポジションを入れ替え、2人が最終ラインに関わりながらパスコースを増やした。その変化をきっかけに熊本が保持する時間が増えると、ジェフは組織全体の重心が下がり、高い位置からのプレスでボールを奪う回数が減った。
守備で後手に回って相手に押し込まれる時間が続くと、セットプレーからピンチを招く我慢の時間が続いた。40分以降は品田の積極的に前へ出る守備によって流れを取り戻したが、アディショナルタイムのチャンスも決めきれずスコアレスのまま前半を終えた。
ハーフタイムの修正点について、小林慶行監督はこう話した。
「ビルドアップを特長とする熊本を相手に前から行って2つ、3つ引っ掛けてシュートまでいったシーン、もしくは惜しいシーンを作ることができました。その一方で、それをうまく外されて、この暑さの中で体力を奪われたシーンもあって、その話をハーフタイムに共有しながら、後半どう戦うかをしっかりとすり合わせてました」
効果はすぐに表れた。48分、相手のビルドアップを左サイドに追い込んで同数でハメると、一気に強度を上げて高い位置でボールを奪った。その流れで獲得したCKをつなぎ、髙橋のクロスをフリーで受けた小森が振り向きざまにシュート。これは相手DFにブロックされたが、直後の57分にも高い位置で横山がボールを奪い、再び小森にチャンスが訪れたがシュートは枠を捉えられなかった。
63分、小林慶行監督は3人の交代を決断する。椿に代えてドゥドゥ、田中に代えて岡庭愁人、品田に代えて矢口駿太郎を送り出した。直後の64分には矢口の右サイドへの展開から岡庭、オーバーラップした髙橋につないでクロス。しかし小森のヘディングシュートはゴール上に外れた。
70分以降はややオープンな展開となったが、72分に横山に代えて風間宏矢、76分に日高に代えて佐々木翔悟を投入し、相手の変化に合わせて早めに対応策を打った。78分には左サイドバックに入った佐々木を起点とするパスワークで相手を完全に崩したが、ドゥドゥのクロスはゴール前に合わなかった。さらに、80分にも矢口の展開から岡庭が縦に突破してクロス。しかしシュートを打つことはできなかった。
迎えた終盤の84分、相手CKのこぼれ球に対する守備が甘くなると、ペナルティーエリア内への侵入を許してファウル。PKを献上する。
86分、これを決められて試合の均衡を破る先制ゴールを奪われると、最終盤の猛攻も実らずそのまま0-1で敗れた。
多くのチャンスを作り出したが、それを決めきることができず、終盤にPKを与えて負けた。「足りない何か」を自分たちの力で作り出す強さを身につけて、この悪い流れを変えなければならない。
INTERVIEW
小林 慶行監督 試合後コメント

髙橋 壱晟選手 試合後コメント

―― 結果について。
重く受け止めなければいけないと思います。その後でどう取り組んでいくかが大事なので。もちろん悔しいし修正点はたくさんありますけど、前を向いてやっていかなければならないし、この結果を変えられるわけではないので、ここから自分たちがどうやって成長していくかが大切だと思います。
―― 熊本に対してどんなゲームプランを?
相手がボールを保持・前進してくるので、プレッシャーをかけて、ボールを奪って速い攻撃をしようという狙いがありました。前半から何度かチャンスを作ることはできたと思います。あとは、我慢強く最後のところでやらせないという守備は基本的にはできていたと思います。内容が悪かったとは僕自身は思っていません。
―― チャンスを決めきれなかったところが勝負の分かれ目でした。
はい。チャンスを作れていたし、それを決めるかどうかがサッカーなので。ただ、何度でもチャンスを作り続けることで質だけじゃなく量で奪うこともできると思うので、それができるようにしなければいけなかったと思います。
品田 愛斗選手 試合後コメント

―― 加入後いきなりのスタメン出場となりました。
正直なところ、ジェフのサッカーを理解し切っていないところもありましたし、ほかの選手たちの特徴もはっきりとは理解できていない中で、まずは自分にできることをやろうというところから入りました。前半は探り探りのところもありましたけど、後半は自分の持ち味のところも含めて少し見せられたかなと思います。自分としては感触のある1試合になりましたけど、チームとしての結果が得られなかったので、そこは申し訳ない気持ちです。
―― 小林慶行監督からはどんな言葉をかけられた?
加入する時に自分の視野の広さを生かしてほしいと。ウイングに特長があるチームだと思うので、そのスペースを使うようなキックでスピードアップしてほしいという話をもらいました。何度か失敗してしまいましたけど、狙いを持ったプレーはできたと思います。後半はだいぶやりやすくなりました。
―― チームとしては悔しい敗戦になりました。どんなことを考えながらプレーしていた?
チームの色としては先に取って突き放したいというところはあると思います。そこはクオリティーを発揮しなければならないところなので、自分ももっと突き詰めてやっていきたいと思います。
HALFTIME
小林 慶行監督 ハーフタイムコメント

大きな問題は起きていない。
ピッチの中でしっかりとコミュニケーションとって全体でプレーすること。
その中でクオリティだして得点取って勝とう。
PREVIEW
小林 慶行監督 試合前コメント

(前節・水戸戦は)守備の面では失点数が重なっていた中でしっかりと修正しなければいけないところを全員が共有でき、特に自分たちが攻撃している中で奪われたあとであったり、ミスが生まれてしまったあと何をすべきなのか、その前の準備はどうなのかというところでは、全員がしっかりと意識してプレーできた結果、(失点を)ゼロに抑えることができたと思っています。そういう意味では、この勝点1を次にどうつなげていくかがすごく重要になってくるだろうなと。
(熊本は)かなり流動性をもたらすような仕組みを作っている中で、選手が躍動感あるような、のびのびとサッカーする、若い選手たちがしっかり走るというようなサッカーをしてくるなと。守備のところでは前の選手を尊重していったときには、後ろがどんな形であれついていくというような形で、ほぼマンツーマン気味になることもありますけれども、逆サイドの選手はしっかりカバーの意識を持たせているあたりとか、そういうような部分で彼らのサッカーはこれまで対峙してきたところからそれほど大きな変化はないと思っています。そのなかでしっかりと彼ららしい戦いを表現するチームだなと思っています。
横山 暁之選手 試合前コメント

(ボランチでプレーする際に意識するのは)守備でのタスクがだいぶ変わってくるので、トランジションの部分でボールを奪われたときに、しっかり自分のポジションに戻れる距離を意識しています。
(熊本は)ボールに人数が集中して“出して動いて”と連続する中でスピードアップしていくタイミングを見計らっているというイメージがあります。まずは自分のマークの選手にしっかりと付いていくということは大事ですけど、いつも以上に大事になってくる試合なのかなと思います。
(個人として意識するのは)ボランチでプレーしているときは、ペナルティーエリアに入っていく回数は意識して増やしていかなければいけないと思っていますし、ボールを取られた瞬間に戻らないといけないポジションではあります。それでもペナルティーエリアの中に入っていく回数が増えないと、単純にチャンスというか自分がゴールを決めるシチュエーションをたくさん作り出せないし、得点は増えていかないと思うので、まずはペナルティーエリアの中に入っていく、ボールもペナルティーエリアの中に縦パスを入れていく、自分がペナルティーエリアに入っていくこともそうですが、キーワードの一つとして大事にしています。
ドゥドゥ選手 試合前コメント

(熊本は)非常に若く、素早い選手がたくさんいるチームだと思っています。動きに制限がなくいろいろな動き方をしてボールを運んでくるチームだと、自分の目からそういった分析をしています。ただ去年彼らと対戦をして熊本がどうしてくるのかも分かっていますし、対策はできています。ゴールというところで自分は奪いたい気持ちはあります。ただ何よりチームが勝てればそれでいいと思っています。
ゴールを決めることで自分のモチベーションは上がりますし、ポジション競争が激化することになります。2人(椿直起選手、高木俊幸選手)が頑張ることで自分も頑張らなければというモチベーションや向上し合う一つの大きな要因にもなります。そしてゴールは常に目指したいと思っていますし、頑張り続け、常に努力をし続けなければいけないと思っています。与えられた時間の中で常にベストを尽くさなければいけませんし、プラスアルファを出さなければいけない。個人がレベルアップすることで自然にチームがレベルアップすると思っています。
PREVIEW
スコアレスドローに終わった第6節の水戸ホーリーホック戦。攻撃のバリエーションを欠いて無得点に終わった90分にはJ2優勝を目指す上での“もの足りなさ”が感じられたものの、一方で、この試合でなんとしても達成しなければならなかったノルマを達成し、チームとしての積み上げを感じた90分でもあった。
小林慶行監督が言う。
「守備の面では失点数が重なっていた中でしっかりと修正しなければいけないところを全員が共有でき、全員がしっかりと意識してプレーできた結果、(失点を)ゼロに抑えることができたと思っています。そういう意味では、この勝点1を次にどうつなげていくかがすごく重要になってくるだろうなと」
それまでに露呈していた守備の課題は、水戸戦を無失点で終えたことで修正することができた。この勝点1に意味をもたらすためにも、今節のロアッソ熊本戦が大きな意味を持つ。指揮官はそう話した。
大木武監督率いる熊本は、J2リーグにおいては異彩を放つチームのひとつだ。
ボール保持の局面ではフィールドプレーヤーが流動的なポジションチェンジでパスを引き出し、小さなパスをテンポよくつないで局面を打開する。J2昇格後の過去3年間で多くの主力を引き抜かれてきたが、それでもスタイルを変えることなく常に攻撃的なサッカーを見せてきた。
今シーズンもオフに昨シーズンJ2ベストイレブンのMF平川 怜をジュビロ磐田に、ドリブラーとしてブレイクしたMF島村拓弥を柏レイソルに放出。攻撃の中核を失った中で迎えた今シーズンは、ここまで1勝2分3敗と黒星が先行している。敵地で藤枝MYFCと対戦した前節は、63分に生まれた“いかにも熊本らしいパスワーク”からのゴールで一時同点としながらも、74分にボールロストからのショートカウンターで失点。1-2で敗れている。
小林慶行監督が言う。
「かなり流動性をもたらすような仕組みを作っている中で、選手が躍動感あるような、のびのびとサッカーする、若い選手たちがしっかり走るというようなサッカーをしてくるなと。彼らのサッカーはこれまで対峙してきたところからそれほど大きな変化はないと思っています。そのなかでしっかりと彼ららしい戦いを表現するチームだなと思っています」
藤枝戦の結果に現れているとおり、ジェフにとっても“対熊本”のポイントは2つに絞られる。
ひとつは熊本の流動的なポジションチェンジから生まれるパスワークをどのように阻止するか。もうひとつは、奪ったボールをどのようにゴールに結びつけるかだ。
横山暁之が言う。
「(ボランチの自分が)ペナルティーエリアの中に入っていく回数が増えないと、単純にチャンスというか自分がゴールを決めるシチュエーションをたくさん作り出せないし、得点は増えていかないと思うので、まずはペナルティーエリアの中に入っていくことをキーワードの一つとして大事にしています」
昨シーズン、“得点”においてチーム全体の意識を変えたと言っても過言ではないドゥドゥも士気を高めている。
「ゴールを決めることで自分のモチベーションは上がりますし、ポジション競争が激化することになります。与えられた時間の中で常にベストを尽くさなければいけませんし、プラスアルファを出さなければいけない。個人がレベルアップすることで自然にチームがレベルアップすると思っています」
当日の熊本は気温20度を超える晴天が予想されている。ボールの主導権をめぐるトランジションの応酬となるだろう試合展開の中で、最後まで走り抜き、自分たちのスタイルを表現するのはどちらか。水戸戦の勝点1を価値あるものにするために、なんとしても勝点3を持ち帰りたい。


J2第3節 03/10 vs 愛媛(A) 3●2
ルヴァンカップ1st1回戦 03/13 vs 福島(A) 2●1
J2第4節 03/17 vs いわき(H)0○6
J2第5節 03/20 vs 仙台(A) 0△0
J2第6節 03/24 vs 藤枝(A) 1○2
ルヴァンカップ1st1回戦 03/06 vs 鹿児島(A) 0○1
J2第3節 03/10 vs 群馬(A) 3●1
J2第4節 03/16 vs 鹿児島(A)2○4
J2第5節 03/20 vs 清水(H) 1○3
J2第6節 03/24 vs 水戸(A) 0△0
2022/05/21 熊本 1-1 千葉
2022/09/25 千葉 0-1 熊本
2023/04/21 熊本 2-2 千葉
2023/09/03 千葉 1-0 熊本
前半はビルドアップを特長とする熊本を相手に前から行って2つ、3つ引っ掛けてシュートまでいったシーン、もしくは惜しいシーンを作ることができました。その一方で、それをうまく外されて、この暑さの中で体力を奪われたシーンもあって、その話をハーフタイムに共有しながら、後半どう戦うかをしっかりとすり合わせてました。
後半は前半のように前から行くシーンはなかったですけれど、特に自分たちが明確に外されたシーンは前半ほど多くなく、アタックするところでは奪った直後のところなど、自分たちの形から崩しのチャンスを作ることはできました。ゲームを通じてチャンスを作り続けることはできたのですが、最後、ゴールを決めることができなかったゲームでした。
―― 前半の途中から相手にパスをつながれて、こちらのプレスがハマらないシーンが目立ちました。
相手のボランチの立ち位置の変化や伊東俊選手が下りるところは想定内として、ウイングバックがワイドに張り続けるなどの変化も当然のように持っているチームなので。その中でどうこうというのはないのですが、前からハメることができなければ、少し下げたところからスタートになる、そのあたりを少し整理して後半に臨んだという流れでした。
―― 監督の言葉のとおり最後のところで決められなかったゲームでしたが、それはシンプルに「決定力」という言葉で表現できるのか、それとも別の要因があるのかについてはどのように考えますか?
そこについては、それぞれの場面について見ている人に評価していただければいいところだと思います。「あれは決めなければ」という評価であれば個のクオリティーの問題であるし、「チャンスが作れなかった」という評価であればチームとして取り組むべき問題だと思います。僕自身が感じるのは全体としてチャンスは作れたと思います。前から奪ってのところもそうですし、前進してというところもそう。最後のクオリティー、クロスの質、シュートの質というところまでボールを運べてはいる。でも、ボールはゴールに入っていないわけですから、やっぱりもっと前進するところのクオリティーを上げなければいけないし、そこにトライしていきたいと思います。
―― 今日の敗戦のショックは小さくないと思います。選手たちにはどのような言葉を?
まずは、次の試合がすぐに来るということです。今は試合直後で僕自身もそうですが、頭が真っ白な状態で。でもこの苦しい状況だからこそ、自分たち自身の真価が問われると。だからこそ自分たちに矢印を向けて、チームに矢印を向けてやっていこうと。この難しい状況で進むということは、これを覆すためには本当に大きなパワーが必要で、このグループの中に誰かひとりでも「誰かがやってくれるだろう」と思っていたらひっくり返すことはできない。だからこそ、自分自身が、「俺が」という強い気持ちを持つ必要がある。明日の練習からしっかりやろうという話をしました。