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第16節
SAT
KICKOFF
試合終了
ジェフユナイテッド市原・千葉 - 7
- 1
愛媛FC
5 | 前半 | 0 |
2 | 後半 | 1 |
VIDEO
REVIEW
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完璧な試合運びで7得点大勝!
ホーム・フクアリに愛媛FCを迎えた第16節。上位進出をうかがう上で大事な一戦で、ジェフは大量7得点を奪い、貴重な勝点3を奪った。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは藤田和輝。最終ラインは右から髙橋壱晟、久保庭良太、佐々木翔悟、日高 大の4人。中盤の底に小林祐介と田口泰士が並び、2列目は右に岡庭愁人、トップ下に横山暁之、左にドゥドゥが位置。最前線の1トップに小森飛絢が入った。
前半は内容、結果ともほぼパーフェクトだった。
先制点は1分。相手最終ラインの背後に抜けてパスを受けた小森が鋭い切り返しから左足シュート。これはクロスバーに弾かれたが、ゴール前のルーズボールに飛び込んだ田口がヘディングで押し込んでゴールネットを揺らした。
7分にはまたしても背後へのランニングから小森がシュート。11分にも最終ラインからのロングフィードで小森が抜け出し、ゴール左に外れたものの惜しいシュートを放った。立ち上がりから流れを掴んだジェフは、最終ラインからのビルドアップでは相手をいなしてボールを前進させ、守備では4-4-2の配置で人を捕まえると“蹴らせて回収”の流れを作って押し込んだ。
15分には追加点。カウンターからドリブルで運んだ横山スルーパスを送り、これを受けたドゥドゥがクロス。ゴール前でつないで最後は岡庭が左足で蹴り込み、リードを2点に広げた。
19分にはGK藤田をスタート地点とするパスワークで相手を揺さぶり、完璧な崩しでフィニッシュまで。直後の23分にはまたしても完璧なパスワークでボールを前進させ、小森のポストプレーから左サイドの縦に抜けた日高へ。高速クロスを岡庭が折り返し、飛び込んだドゥドゥが決めて3点差とした。
ジェフの勢いはその後も止まらず、42分、日高の縦パスで相手最終ラインの背後を取ったドゥドゥが角度のないところからの鮮やかなループシュートで4点目。アディショナルタイムにも佐々木のCKに田口が合わせて5点目を奪った。
小林慶行監督が振り返る。
「気温がかなり急上昇したというようなところで、選手たちは肉体的には相当つらいゲームになったと思います。とはいえ、そういうゲームだったからこそあの先制点というのはすごく大きな影響力を持ったなと思います。先制点があったからこそ自分たちが優位に進められたことは間違いないと思います」
愛媛はハーフタイムに3枚替え。立ち上がりの10分間は愛媛が攻勢に出る時間が続いたものの、ジェフは冷静に対応し、時間の経過とともに再び主導権を握り始めた。決定機の数こそ減ったものの、最終ラインのパスワークで相手を引っ張り出し、作ったスペースを使い、背後を狙いながら手前のスペースをうまく活用してボールを前進させた。
58分にはドゥドゥに代えて椿 直起、67分には田口に代えて品田愛斗、横山に代えて呉屋大翔を投入。トップ下の位置に小森が入った。
迎えた72分、最終ラインのパスワークから縦パスを入れてスピードアップ。左サイドを駆け上がった日高がスルーパスを入れると、飛び出した小森が技ありのゴールを決めて6点目を奪った。さらに80分には右サイドで得たスローインのリスタートから一気に決定機。裏に抜けた小森がGKと1対1の状態からラストパスを送ると、逆サイドから走り込んだ椿が押し込んで7点目を決めた。
82分にGK藤田のコントロールミスから1点を失ったものの、86分には小森に代えて風間宏矢、岡庭に代えて米倉恒貴を投入して試合を締めた。終始圧倒して大量7得点を奪う見事なゲーム運びだった。
日高 大が振り返る。
「俺たちはできるんだということを示せたということがひとつ。それから、もっと決められるところがあったと思うし、もっとチャンスを作ることができたと思うので、そういうところの質を高めてやっていかなきゃいけないと思います」
次節は第15節終了時点で2位に位置するV・ファーレン長崎。敵地での戦いとなるが、勢いを加速させる連勝を勝ち取りたい。
INTERVIEW
小林 慶行監督 試合後コメント
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日高 大選手 試合後コメント
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―― 悔しい結果に終わった前節を踏まえて、どのような気持ちでこの試合に臨んだ?
オフ明けから、自分たちがやるべきことを再確認した上でトレーニングからやっていくと全員がそういう意識を持って準備してきたので、ゲームに入ってもそれがしっかりと見られたし、これを続けなければいけないと思います。
―― 7対1というスコアになりました。
俺たちはできるんだということを示せたということがひとつ。それから、もっと決められるところがあったと思うし、もっとチャンスを作ることができたと思うので、そういうところの質を高めてやっていかなきゃいけないと思います。
―― 日高選手自身は2アシストと結果を残しました。
(田口)泰士さんがすごくいいポジションを取ってくれたので、僕とドゥドゥが自由に動けたというところと、それにプラスして(小林)祐介がいいタイミングでこっちに落ちてくれることでまたスペースが生まれて、数的優位が生まれて。みんなが落ち着いて相手を見ながらプレーすることができたと思いますし、誰が出てもそれができるようにしたいと思います。
―― 大量リードで迎えた後半への臨み方は?
点差は関係なく、自分たちがやらなければならないことを再確認してピッチに入りました。まずはやるべきことに集中して、前半の得点は関係なく、もっと取りに行くぞという気持ちで。そういう意味ではもの足りなさもあったと思うんですけれど、勝ち切れたことは良かったと思います。
―― 試合終了時に思ったことは?
点差はありましたけど、僕の感覚的には“早く終わった”という感覚がありました。充実した90分だったと思うので、ホッとしたという気持ちが大きかった気がします。
ドゥドゥ選手 試合後コメント
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―― 7-1という素晴らしい結果に終わりました。
全体的に素晴らしかったと思います。大差になりましたけど、(田口)泰士のゴールを皮切りに、自分たちが最後まで強度の高いサッカーを見せることができたと思います。前節の甲府戦は絶対に勝たなければいけなかったけど、最後に失点して引き分けに持ち込まれました。あの試合で学んだことをしっかりと活かせたゲームだったと思いますし、ここ3試合は自分たちの気持ちの強さをしっかりと表現できているので、それはすごく大切なことだと思っています。
―― 日高選手のコンビネーションで多くのチャンスを作りましたし、2得点を記録しました。
日高とのコンビネーションは昨シーズンから積み上げてきたものです。今シーズンは少しうまく表現できていなかったんですけど、今日は2人とも自信を持ってプレーすることができましたし、自信さえあればうまくいくと思っています。自分たちのコンビネーションだけでなく、そこからゴールネットを揺らす回数が増えればいいと思います。今日はマサルも2アシストですよね。素晴らしい内容だったので、このまま続けたいと思っています。
―― チーム4点目は日高選手からの縦パスを見事なループシュートで決めました。
正直なところ、あれはクロスを狙いました。ヨコ(横山暁之)の頭を狙って、ふわりとしたクロスを入れたかったんです。でも、それがゴールにつながって。どんな形でもチームに貢献することが一番なので。チームの勝利のために2得点できたという結果を嬉しく思うけれど、そのうち1本は「狙っていなかった」と認める謙虚さも必要ですよね(笑)。
―― この調子を維持するために必要なことは?
一番大事なのは今日のような“姿勢”を見せ続けることです。直近の試合ではそれができていると思います。実は、昨日、GKコーチのモト(川原元樹)からすごくいい言葉をもらいました。
ジェフにはジェフのスタイルがある。それは全員で攻撃して、全員で守備をすることだと。そのスタイルを絶対に崩しちゃいけないし、それをみんなに見せつけようと。彼のその話に100%同意するし、どんな局面でもそれぞれが犠牲心を払う。その“姿勢”こそが自分たちにとって不可欠だと思いますし、それを見せ続けることができれば前に進めると思いいます。
HALFTIME
小林 慶行監督 ハーフタイムコメント
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相手は後半パワーを出してくる。
やることは変わらない。
頭を働かせて戦い続けよう。
PREVIEW
小林 慶行監督 試合前コメント
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(愛媛は)ゴールキーパーを含めてしっかりとビルドアップしてきますし、やはり(昨シーズンは)J3優勝ということで、みんな今のスタイルに自信を持って、同じ方向を向いてプレーできているチームだと思います。個人個人を見ると、スピードのある選手、突破力がある選手、トップ下にすごくテクニックがある選手がいて、ボランチも良い選手ですし、センターバックもしっかりビルドアップ能力があります。すごく攻撃的なチームだなと思います。前線からの守備というところにもかなり迫力がありますし、強度があります。それに対して、しっかりと自分たちがそれ以上のスピードで立ち位置を取ることができないと、ゴールキーパーにボールをバックパスされたあと、センターバックにバックパスされたあと、自分たちが蹴るしかないというようなシチュエーション、五分五分のバトルが始まってしまうということになりかねないので、まずはしっかりと、相手の強度あるプレッシャーをはがす準備をしていくと。その中で、前から来る相手なので、どういうタイミングで長いボールをどこに入れていくかというのは、すごく重要になってくると思います。
久保庭 良太選手 試合前コメント
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これまで逆転をして勝つ試合がなかった中で、(前節・甲府戦は)最後に締めきれなかったことはチームとしても個人としても悔しい結果でした。反省点を挙げればいっぱいありますが、最後の失点はチーム全体で防ぎ切ることが課題だと思いました。
(愛媛は)前線からアグレッシブにプレスをかけてきて、攻撃はスピード感がある。自分たちに少し似ている感じがしていて、真ん中の選手はクオリティの高い選手が多く、ゴール前でのアイデアが生まれてくると思うので、そこはディフェンスを中心に対応していきたいと思います。逆にハードワークの部分で自分たちが上回ることができれば得点もたくさん取れる展開になると思うので、自分たちのやってきたところで負けないことが1つのポイントになると思います。2トップの石浦大雅選手はテクニックがある選手なので、そこをフリーにさせないこと、しっかりと中盤の選手を動かしていきたい。チーム全体としてはつないでくる印象もありますが、相手に合わせて裏も取ってくるチームなのでしっかり対応していきたいです。
小林 祐介選手 試合前コメント
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(愛媛は)ゴールキックからビルドアップしようとしてきますし、一人ひとりがハードワークもできる。ボールを大事にしているところで、自分たちも、そこに向かって前からプレッシャーにいきたいですし、自分たちがやりたいことをしっかり出したいと思います。
(愛媛とは)勝点が一緒ということで負けられないですし、自分たちが上に行くためにはもう勝点を落とせないので、愛媛戦は絶対に勝たなければいけない試合になると思います。
(前節・甲府戦の)前半はなかなか自分たちのやりたいことができなかったのですが、後半はスペースが空いてきた中で、相手が嫌がるポケットもうまく取れていましたし、セカンドボールを拾えていました。そこは自分たちが本来やりたいサッカーではあるので、愛媛戦はそういうところを前半から積極的に出していきたいです。
これまでもたくさんのサポーターが来てくれていますし、愛媛戦にも来てくれると思うので、サポーターの皆さんがわくわくするようなサッカーを前半からしたいですし、結果にもこだわって必ず勝ちたいと思います。
PREVIEW
ジェフにとって、前節のヴァンフォーレ戦は勝点2を逃したゲームだった。前半戦に先制点を献上しながらも、本来のリズムを取り戻した後半にドゥドゥと小森飛絢のゴールで逆転。しかし、今シーズン初の逆転勝利に目前まで迫りながら、アディショナルタイムに同点弾を許して勝点1の獲得にとどまった。
久保庭良太が振り返る。
「これまで逆転をして勝つ試合がなかった中で、(前節・甲府戦は)最後に締めきれなかったことはチームとしても個人としても悔しい結果でした。反省点を挙げればいっぱいありますが、最後の失点はチーム全体で防ぎ切ることが課題だと思いました」
6勝3分6敗のジェフは勝点「21」で9位。首位を走る清水エスパルスとは16ポイント、2位のV・ファーレン長崎とは9ポイントの差をつけられている。勝ち続けなければ、唯一にして絶対的な目標の実現は見えてこない。
迎える今節、ホーム・フクアリに戻ったジェフは、J3リーグからの昇格組である愛媛FCを迎え撃つ。愛媛は5勝6分4敗でジェフと同勝点の「21」を記録しており、第15節終了時点で10位。上位争いに食い込むためには絶対に負けられない相手だ。
今シーズンの愛媛は開幕直後の5試合で2勝3敗と黒星が先行したものの、その後10試合の戦績は3勝6分1敗と“負けない戦い”を続けており、着実に勝点を積み重ねている印象が強い。第13節から3試合連続のドローが続いているが、前節の大分トリニータ戦では敗色濃厚のアディショナルタイムに追いつき、敵地で貴重な勝点1を獲得。チームとしての粘り強さを証明した。
小林慶行監督が言う。
「(愛媛は)ゴールキーパーを含めてしっかりとビルドアップしてきますし、やはり(昨シーズンは)J3優勝ということで、みんな今のスタイルに自信を持って、同じ方向を向いてプレーできているチームだと思います。すごく攻撃的なチームで、前線からの守備というところにもかなり迫力がありますし、強度があります」
ボール保持の局面における“うまさ”がありながら、守備においては前線から激しいプレスを持ち味としておりその強度は高い。前節の甲府戦ではボール保持の局面でロングボールを効果的に使えなかったジェフにとって、相手のプレスをどのようにはがして前進し、フィニッシュまで持っていくかが大きなポイントとなりそうだ。もちろん、互いの持ち味である強度の勝負でも主導権を譲るわけにはいかない。
小林祐介が言う。
「ゴールキックからビルドアップしようとしてきますし、一人ひとりがハードワークもできる。ボールを大事にしているところで、自分たちも、そこに向かって前からプレッシャーにいきたいですし、自分たちがやりたいことをしっかり出したいと思います」
経験豊富な石丸清隆監督が率いて3年目のチームは、戦術面の浸透度が高く、昨シーズンのJ3リーグを制した自信もある。かつてジェフでもプレーしたFW松田 力、中盤の底を定位置とする大卒2年目のMF深澤佑太、在籍4年目のセンターバック・小川大空、左サイドのアタッカーであるMF茂木駿佑ら昨シーズンの中心選手をベースとしながら、左サイドバックのパク ゴヌ、MF窪田 稜ら新戦力も存在感を示している。GK徳重健太、DF森脇良太、MF菊池俊輔ら“柱”となる大ベテランもいる。
久保庭が言う。
「ハードワークの部分で自分たちが上回ることができれば得点もたくさん取れる展開になると思うので、自分たちのやってきたところで負けないことが1つのポイントになると思います」
小林慶行監督はよく「自分たちの表現したいこと」と口にするが、その手応えが結果に直結することは選手たちもよく理解している。その根幹であるハードワークで相手を上回り、上位争いをにらむ勝点3を手に入れたい。
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J2第11節 04/20 vs 山形(A) 1○2
J2第12節 04/27 vs 甲府(H) 2●1
J2第13節 05/03 vs 徳島(A) 0△0
J2第14節 05/06 vs いわき(H)0△0
J2第15節 05/12 vs 大分(A) 2△2
J2第11節 04/21 vs 秋田(H) 1○2
J2第12節 04/27 vs 仙台(A) 2●0
J2第13節 05/03 vs いわき(A) 0○1
J2第14節 05/06 vs 横浜FC(H) 1●0
J2第15節 05/12 vs 甲府(A) 2△2
2019/02/24 愛媛 0-0 千葉
2019/08/10 千葉 2-3 愛媛
2020/09/12 愛媛 0-2 千葉
2020/11/04 千葉 1-1 愛媛
2021/03/07 愛媛 1-1 千葉
2021/09/18 千葉 1-0 愛媛
気温がかなり急上昇したというようなところで、選手たちは肉体的には相当つらいゲームになったと思います。とはいえ、そういうゲームだったからこそあの先制点というのはすごく大きな影響力を持ったなと思います。先制点があったからこそ自分たちが優位に進められたことは間違いないと思います。
―― GKを含めた最終ラインからのビルドアップについては、小さくつないで相手を引っ張り出すこと、それを踏まえて長いボールで背後を狙うなど、“手前”と“裏”の使い分けのバランスがかなり良かったと感じました。相手の分析を踏まえて、戦術的にどのような意識付けをして臨んだ試合だったのでしょうか。
相手の分析においては、やはり愛媛は前から追ってくるチームなので、彼らの最初の圧力に対して、それにのまれることなく、自分たちが長いボールを蹴らざるを得ないような状況にならないように整理しました。
―― その部分にははっきりとした手応えがあったのでは?
今日の試合におけるその部分の手応えというより、自分たちはそれを常にやろうよという気持ちが強いので、逆に言えば前節(甲府戦)を強く反省しなければいけないと思っています。だから「今回できて良かった」というよりも、前節の試合でどうしてやれなかったんだと全員が思っていないといけない。チームが目指しているのはそういうところでしょという話ですよね。
だから、今日、選手と共有してきたのは、これだけ暑い日だからこそその部分が重要になると。“上手い・下手”に関係なく、そういうサッカーをやるという意識的な準備は誰にでもできますから。そのためにも甲府戦のフィードバックは徹底してきましたし、そこはすごく良かったと思います。
―― まさにその部分においては、ボール保持時に攻撃的な選択肢を表現できる佐々木翔悟選手の存在感を強く感じた試合でした。
昨シーズンから彼の左足が相当な武器になることはわかっていますし、自分たちがボールを保持している時、自分たちのビルドアップや前進の局面で数段上のレベルに引き上げてくれるものを持っています。
左足の精度というより、見えているものがいい。彼が見ている“幅”や“深み”もかなり距離が出ますし、そのレベルのビジョンと精度を持っている選手はそうそういません。彼にはその明確な武器があるので、相手をひっくり返すところに狙いを持って今日は彼を起用しましたし、そういう意図がありました。前半で言えば彼のキックが2本、3本引っかかているので、そういうところは「お前が出ていてあれを引っ掛けたらダメだろ?」ということになると思います。そこが彼の強みであり、求められる部分なので。
今まで出た試合では守備のところで少し苦手な部分が出てしまったかもしれませんが、今日は90分プラスアルファ、タフにしっかりと戦ってくれたと思いますし、それは彼にとってもチームにとってもものすごく多くなプラスだと思います。
―― 大量リードで迎えた後半は選手たちに対してどのような意識づけを?
細かいこともいくつかあるんですが、やっぱり、前半のスコアでほぼ自分たちがコントロールできたところ、しっかり狙いを持ってピッチに立ってそれが表現できたところはすごく多かったので、まずはそれを続けていこうと。それから、相手は何を考えて、どういうマインドで、どういうアクションを起こしてくるかを理解しなければいけない。前半と逆のことが起こる可能性はあるので、それに対してしっかり準備しようと伝えて送り出しました。
―― 平均して良いサッカーをやっていると思いますが、「すごくいい」と「そうでもない」がある気がします。その差はどうして生まれる?
いろいろな考え方があると思います。僕自身は、例えば甲府戦で言えば「相手の2トップがどういう守備をしてきたか」がポイントだと思っていて。あれを上回るために自分たちが臨機応変に戦うというステージまでどうやっていけるかということだと思います。
具体的に言えば、あの試合の前半は2トップからのプレッシャーがほとんどない中で、自分たちから長いボールを入れてボールを失い、リズムを崩してしまった。しかし今日の相手には前から来るというスタイルがあって、先ほど話したとおりGKを使ってビルドアップをして、相手をひっくり返すことが大きな効果をもたらしました。自分たちには明確に“相手の背後”という狙いはあるけれど、前から来ない相手に対してはどうすればそれができるのかと。ここが課題であることは間違いありません。
ただ、これはものすごく難しいことでもあるんです。自分たちの明確なスタイルを持てていることだけでも、僕自身はチームとしてはあるレベルには達していると思っていて。でも、この先、“何でもできるチーム”を目指すのかということ、そうではありません。なぜなら、何でもできる、イコール、おそらくいろいろなことが平均化されていくチームになってしまうと思うからです。
それは選手もそう。チームもそうだと僕は思います。やっぱり、尖っていないといけない。そういう意味では、ここまで積み上げてきたものは絶対に失いたくないんだけど、その尖った部分が明確にハマらないチームもあるわけです。そういうチームを相手にした時に、これからどういう戦いができて、拮抗した展開の中で自分たちが勝点を積み重ねていけるかが明確に僕らの課題として浮き彫りになっているところです。
本当に拮抗した戦いの中で、それをモノにできるかどうかというのは、もしかしたら今日の1失点を生んでしまうところかもしれないし、甲府戦をリードのまま終わらせることができないところかもしれません。だから、これまでと同じように今後も尖ったチームとして進むけれど、それが少しずつ大人になっていくというか、そういう色を出しながら進むことができればいいと思っていて、自分自身の中ではそういう絵を描きながらチーム作りをしています。
とはいえ、僕らはまだ、大人になることよりも、もっともっと尖ることを徹底しないといけないと思っています。自分たちはこういうサッカーをするというのをもっと強く打ち出して、その色がもっと濃くならなければいけないと。その前に大人になろうとするのはかなり危険で、平均化されて“普通のチーム”になってはいけないと思っているので。やっぱり、今あるものをもっと尖らせていきたい。今ある長所で相手に対してもっと脅威を与えたい。そういうチームを作っていきたいと思っています。