小林 慶行監督 質疑応答
―― 監督就任1年目は「当たり前のことを当たり前に」、2年目の昨シーズンは「本気と覚悟」という言葉をキーワードにしていらっしゃいました。3年目の今シーズンはどんな言葉をキーワードにしていらっしゃいますでしょうか。
「進化」です。
―― 小森飛絢選手が抜けた中で、攻撃面で心配されるところがあると思います。その今シーズンの攻撃力の部分について。また昨シーズンは昇格したチームの勝点が、清水エスパルスが82、横浜FCが76でした。昇格するにあたって、どのくらい勝点を積み上げていきたいか、この2点を教えてください。
(勝点を)積み上げていきたいというのは、自分たちの目標は、とにかく昇格、何が何でも昇格というところになってくるので、それが可能になる勝点が間違いなく必要になってきます。
小森の抜けた穴というのは、もちろんあれだけ良い選手なので、チームとしては痛手です。ただ小森が入れたゴールの中で、“小森でなければ入れられなかったゴール”がどれくらいあるか。もちろんあるのですけれども、いま自分たちが抱えているストライカーの中で、それを十分補っていけると。
スタイルで言うと、小森は自分で目の前の相手をどうにかしてゴールを取るタイプではなくて、チームとして作った中で最終的なゴールゲッターというか、そういう役割を担ってもらっていました。引き続き僕自身が構築していくサッカーでは、センターフォワードはそういうタスクになると思っています。
ただ、やっぱり守備のところの改善というところにもつながってくるのですけれども、もちろん自分たちが全部が全部前から、とにかく前から守備するのかというと、相手のスカウティングもある中で、今シーズンは間違いなく変化していく年にもなります。そういう中でボールを奪う位置が低くなれば、得点の可能性もすごく少なくなります。
だからチームとして勝利によりフォーカスすれば、今までよりも攻撃のスタッツや得点数が落ちるだろうというのは覚悟のうえです。それよりも大事なものとして、やっぱり自分たちが積み上げてきたものがあるからこそ、うまくいかないときに立ち戻れる場所がようやくできたからこそ、より結果にフォーカスして柔軟に戦っていくことが求められるなと思っています。
―― 監督就任1年目はプレーオフ出場、2年目はそれ以上を目指しながらも下回ってしまった。その次のシーズンということで、臨むにあたって気持ちの面の変化はあるのでしょうか。
一番はやっぱり自分の中でチームの成長を非常に感じられていて、それはチームの成長とともにクラブを取り巻く環境というか、サポーターの方々の熱量であるとか、スポンサーの方々のアクションであるとか、そういう部分もそうですが、やっぱりチームとしてしっかりしたものを示せてきている、そこに成長を感じています。という風になれば、自分自身としてはもう3年目を与えられている以上、もう“結果”しかないんですよね。だからまず自分自身が本当によりそこにフォーカスするというところ。その考え方や熱を選手にもしっかりと伝わるようにしていくことがすごく重要だと思っています。
たとえば今まで言えば、攻撃的なサッカーをしたければ、自陣からつなぐサッカーをしたければ、そこにミスが生まれたときに何回も何回もフィードバックしたら、選手はやっぱり怖くなってしまうんですよね。そういうプレーをしようとするとミスが生まれてしまうので。でも、そんなミスを承知で僕が進めてきた、チームが進んできたというところがあります。だから例えばそういう部分では「うまくいかなかったけど、悪いチャレンジではないよ。そのあと、じゃあ何ができたかな」というようなところがあったりする。ただ今シーズンに関しては、それで失点したらそれはもう「あなたの責任ですよ」と。「他にも選手がいるんだから、それでは次の試合に出られませんよ」と、そういうような形で進んでいかなければいけないというか。そこが自分たちに今まで足りていなかった。僕自身にも足りていないのは分かっていましたが、でもやっぱりそれ以上に、まず「自分たちがどういうサッカーをするのか」というのを明確に持たないと、シーズン長い中でうまくいかないときに立ち返る場所がないというのはすごく危険なことだと思っていたので。
いま自分たちがどういうサッカーをするかというのは、本当にスタジアムに足を運んでくれているサポーターの皆さんもすごく理解してくれいて、こういうサッカーをするから、やっぱり良いプレーのときにあれだけスタジアムが沸いてくれると思いますし、それが自分たち現場の人間とそれを取り巻く環境のところで、熱量も含めて一致してきていると感じているので、そういう準備が整ったと自分の中ではすごく思っています。だからこそ、結果にフォーカスした1年にしていきたいと強く思っています。
―― 結果にフォーカスしていくというところで、結果のためにある意味“理想を捨てる”という言葉は違うかもしれませんが、そういったようなことも過去の2シーズンと比べれば増えていく可能性があるということでしょうか。
2年間どれだけ自分たちが苦しい思いをしてこれを積み上げてきたのかを考えると、“捨てる”という言葉は嫌ですけれども、やっぱりそこはあくまでもバランスで、それをどれだけ失わずに進んでいけるかというところだとは思います。
でもやっぱり、より勝負にこだわるということが必要になってくると、プロの世界で生き残っていくためには絶対にそういうことは必要だと思っていますし、もう何が何でもこのクラブの悲願であるものをつかみ取りたいと。この3年目でそういう強い気持ちがあるので、そういうことは増えていくかなとは思います。
―― 今シーズンの目標はもちろん“昇格”の2文字だと思いますが、昨シーズンの会見では“J2優勝で昇格”とあったと思います。今シーズンは順位関係なく、何が何でもとにかく“昇格”が目標ということでよろしいでしょうか。
はい。もう、何が何でもというところです。それをより強く出したいので、そういうことです。
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