

第23節
SAT
KICKOFF
試合終了
ジェフユナイテッド市原・千葉 - 2
- 1
ヴァンフォーレ甲府
1 | 前半 | 1 |
1 | 後半 | 0 |
VIDEO
REVIEW

最終盤の逆転弾で6試合ぶり勝利!
ヴァンフォーレ甲府を迎えた第23節。ジェフは理想的な展開で今シーズン初の逆転勝利を手に入れた。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から髙橋壱晟、鈴木大輔、佐々木翔悟、日高 大の4人。中盤の底に小林祐介と田口泰士が並び、2列目は右に米倉恒貴、トップ下に見木友哉、左に高木俊幸が位置。1トップには小森飛絢が入った。
たった1つのミスを除いてパーフェクトな前半だった。
立ち上がりの主導権争いがジェフに傾いたのは9分。1本目のCKを獲得すると、このこぼれ球を見木が折り返して田口がシュート。11分には左サイドを起点とする攻撃から相手最終ラインの背後に抜けた小森が収め、サポートに入った高木のラストパスから髙橋がシュート。相手ブロックによって獲得したCKをつないで日高が狙いすましたミドルシュートを放ったが、これは惜しくも左ポストに弾かれた。
怒涛の連続攻撃はさらに続いた。16分には小林祐介のインターセプトから髙橋が縦につないで米倉がクロス。ニアサイドに飛び込んだ田口がヘディングシュートを放った。完璧な崩しによって作った決定機だったが、シュートはGK正面。直後には再びインターセプトからショートカウンターを発動し、田口がわずか上に外れるシュートを放った。続いて20分にも見木のプレスバックからボールを奪うと、小森のポストプレーを起点として見木がシュート。これもポストに当たり、こぼれ球を拾った米倉が鋭いクロスに小森が飛び込んだがわずかに1歩届かなかった。
相手を圧倒して攻勢を強めたジェフは、23分、左サイドを起点とする攻撃からペナルティーエリア内に進入してPKを獲得。しかし狙いすました見木のシュートは相手GKのビッグセーブに阻まれた。
すると迎えた28分、自陣からのクリアボールを相手に拾われ、FW飯島 陸のラストパスからFW宮崎純真に決められて失点。相手を圧倒しながらの失点にスタジアムが静まり返った。
PK失敗直後の失点という“最悪の流れ”を変えるターニングポイントとなったのが、31分に生まれた同点ゴールだった。見木のボール奪取を起点に左サイドから攻撃を仕掛け、素晴らしいパスワークから田口が裏に飛び込んでフリック。日高のクロスに米倉が飛び込んで潰れ役となり、その裏で待ち構えた小森が押し込んだ。
小森が振り返る。
「PKの後に相手に流れを持っていかれてしまったけど、すぐに同点に追いつくことができたことは大きかったと思います。ヨネさん(米倉)がうまく頭でスラしてくれて自分のところに転がってきたので、あとは流し込むだけでした」
1-1で迎えた後半、甲府は予想どおりシステムを変えてきた。守備時に5バックに変形する3-4-2-1は機能し、ジェフが圧倒した前半の形勢は風向きが変わった。59分には左サイドの高木のクロスから米倉が折り返し、待ち構えた小森がヘディングシュートを放つ決定機を作ったが、このシュートがGK正面に飛ぶと少しずつ“流れ”は甲府に傾き始めた。
ジェフのビルドアップを“外”に追い出し、ミスを誘ってショートカウンターを狙う甲府は、最前線に立つ三平和司へのシンプルな縦パスから好機を作り始めた。60分、61分と立て続けにピンチを招いたジェフは、62分、米倉に代えて田中和樹を投入。しかし流れは変わらず、ビルドアップのミスからショートカウンターを受ける時間が10分以上も続いた。69分、小林慶行監督は小森に代えて呉屋大翔、高木に代えて新明龍太を送り出した。
72分にはサイドへの大きな展開から日高がクロス。逆サイドに流れたが、それをつないで見木がミドルシュートを放った。徐々に主導権を握り始めたジェフは、80分、田口に代えて風間宏矢を投入。甲府もピーター ウタカを投入し、勝負に出た。
84分には左サイドでの完璧な崩しから日高がシュート。わずかにゴール左に外れたものの、ジェフは攻撃の手を緩めることなく相手ゴールに迫り続けた。そうして迎えた90+1分、相手のクリアボールに対して見木と鈴木が素早くアプローチ。奪った見木が前に運んでラストパスを送ると、待ち構えた新明が相手3人をうまくかわして左足シュートを放った。これがゴール右隅に飛び込み、フクアリが歓喜に包まれた。
指揮官が言う。
「アカデミー出身の選手が、1年目で、このホームゲームで得点をするということは、クラブにとってすごく大きなことだと思います。他の若い選手たちに対してもすごく大きな刺激になったと思います。本当に大きなゴールでした」
今シーズン初の逆転勝利は、後半戦を戦う上での大きなきっかけになるかもしれない。大きな変化を期待させる勝点3だ。
INTERVIEW
小林 慶行監督 試合後コメント

新明 龍太選手 試合後コメント

―― 同点の場面でピッチに入りました。
これまでなかなか結果を残せていなかったので、ここで絶対に決めるという気持ちで入りました。
―― ゴールシーンについて。
トモくん(見木)からいいボールが来て、ファーストタッチはうまくいかなかったんですけど、2タッチ目でうまくかわすことができて。あとは流し込むだけでした。
―― ゴールパフォーマンスも決まりました。
そうですね(笑)。僕のゴールでみんなが喜んでくれて、やっぱりあの瞬間は最高でした。サポーターの皆さんにやっと勝利を届けられて良かったですし、ここから連勝できるようにもっと頑張りたいです。
―― 居残り練習が実ったのでは?
いつもFW陣で全体練習後にいいシュート練習ができているので、このまま続けてゴールを奪えるように頑張ります。
小森 飛絢選手 試合後コメント

―― 今シーズン初の逆転勝利となりました。
ホームで勝点3を取ることができて、サポーターと喜び合うことができて最高でした。
―― 前半はイヤな流れになりかけたものの同点ゴールを奪ってつなぎました。
PKの後に相手に流れを持っていかれてしまったけど、すぐに同点に追いつくことができたことは大きかったと思います。ヨネさん(米倉)がうまく頭でスラしてくれて自分のところに転がってきたので、あとは流し込むだけでした。
―― ゴール後のパフォーマンスを控えてリスタートを急いだように見えました。
勝点3を取るためには同点ではいけないので、逆転しにいくぞという強い気持ちですぐに始めたいと思いました。
―― 後半は相手がメンバー変更によってシステムを変えてきました。
前半と同じように相手の背後を取ろうと意識していましたし、そういう部分での自分の特長の質を高めながら発揮したいと思っていました。
―― 最後はいつも一緒にシュート練習をしている新明選手が逆転ゴールを決めました。
もう、最高でした。いつも一緒にシュート練習しているので、その成果が出たんじゃないかなと(笑)。
HALFTIME
小林 慶行監督 ハーフタイムコメント

最後の質をもっと求めること。
自分たちのベースは崩さないこと。
絶対に勝たなくてはならないゲーム。出し切ろう。
PREVIEW
小林 慶行監督 試合前コメント

これから暑くなってくると、前から奪うためにパワーをかけて、高い位置で奪えたとしてもそれをもう1回前に運ぶためには、さらに大きなパワーを使うことになる。ただ、やっぱりそこで頑張らないと。11人全員が前向き(に敷いてくる)ブロックを崩していくのは、そんな簡単なものじゃない。じゃあ、せっかく奪ったボールをどれだけ難しい状況でも前に運んで行くことは、もう1回トライしていこう、もう1回思い出していこうと。そこは少し強めに、みんなの頭の中にしっかりすり込まれるようなフィードバックをしました。
(甲府は)ここ数試合のゲームを見ても、そこまで大きな変化はないのかなと思います。やはりショートカウンターや、奪ってからの速い攻撃。その中心にいるのは間違いなくウタカ選手で、クオリティーを考えるとやはり彼が中心になっています。ただ彼のプレーの特徴を考えたときには、全部が全部守備をするわけではないというところです。だからこそ一発の怖さがある選手なのですが。
自分たちがしっかりとボールを前進させるときは、そういう相手の守備のところで少しサボるような選手がいれば、利用して前進することが自分たちにとっては大事だと思います。一方、そのなかでイージーなミスが生まれれば、一発で沈められてしまう危険性をはらんでいるということは、常に自分たちの中に(注意点として)持っておかなきゃいけない。それは前回対戦のときと一緒だと思います。
髙橋 壱晟選手 試合前コメント

(右サイドバックで出場するようになって)いわき戦と大分戦とやり方が違うなかで守備の対応は勉強になっているところです。やりながら自分で感じていかなければいけないところだと思っていて、その分、攻撃では前線のスペースに出ていく動きやビルドアップはボランチをやっていたこともあってスムーズにできていると思っています。(前節対戦した)大分は特殊な攻撃をしてくるチームだったので立ち上がりは戸惑う部分もありましたが、試合の合間の時間で周りの選手とコミュニケーションを取ってうまくプレーできたと思います。攻撃はビルドアップからチャンスを作れたシーンもありましたし、チャンスの回数はあったと思うので、そこをしっかり決め切るようにやっていきたいです。
(甲府は)しぶとく粘り強い印象があります。ボールを持ち、前には強烈なフォワードがいるので、そこでのカウンターをディフェンスとしても気を付けなければいけないポイントだと思います。(対面選手とのマッチアップについては)自分が押し込むことができれば、より相手を困らせることができると思っています。(甲府は)攻撃が得意なことは分かっているので、守備にパワーを使わせたいと思っています。
高木 俊幸選手 試合前コメント

(前半戦は)コンディションが思うように整わず、出遅れてしまいました。正直、焦りは個人的にある。そんな中、チームも今のような順位にいることはネガティブというか、悪いこと。ここから自分がそれを変えていこうというエネルギーにはなる。試合にも絡めるようになってきて、チーム状態を自分の力でなんとか変えられたらと思っています。
自分で思っている本職は左サイドで、より自分の長所が生かせると思っています。もちろん両サイド同じように対応できることが、一番良いことです。左をやってきた時間のほうが今までは長かった。あとは自分の持っているものをどれだけ出せるかというところになってきています。ある意味、楽しみながらできるポジションにいると思います。
(甲府は)特徴がハッキリしているというか、前に特長のある選手がいて、そこを起点にカウンターを仕掛けてきます。相手の攻撃は主にそういうものになってくると思うし、仕留めるクオリティーの高さがあるので、自分たちはよりボールを持っているとき警戒しながら慎重にボールを持たないといけません。リスクをケアしながら、いかに自分たちのリズムに持っていけるかというところになってくると思います。
PREVIEW
7月初戦の第23節はホーム・フクアリにヴァンフォーレ甲府を迎える。前日時点の天気予報は「雨」だが、プレーに影響がでるほど強い雨ではなさそうだ。声援の後押しを受けてリーグ戦では6試合ぶりとなる勝利を掴み取りたい。
シーズン後半戦の初戦となった第22節終了時点の戦績は6勝7分9敗で勝点「25」。16位につけているジェフだが、今シーズン初の3連勝となった第17節栃木SC戦以降は白星がなく苦境に立たされている。ベガルタ仙台、FC町田ゼルビア、水戸ホーリーホックに3連敗を喫した後、いわきFC、大分トリニータとの試合をいずれもドローで終えてそれぞれ勝点1を積み上げたものの、“5戦未勝利”という結果はやはり重い。はっきりとした危機感を覚えながら、それでもチームは日々のトレーニングに全力を傾けてきた。
小林慶行監督が強調するのは“前への意識”だ。
「11人全員が前向き(に敷いてくる)ブロックを崩していくのは、そんな簡単なものじゃない。じゃあ、せっかく奪ったボールをどれだけ難しい状況でも前に運んで行くことは、もう1回トライしていこう、もう1回思い出していこうと。そこは少し強めに、みんなの頭の中にしっかりすり込まれるようなフィードバックをしました」
前節の大分戦はビルドアップに特長のある相手に対し、組織的な守備からショートカウンターを狙っていくつかの決定的なチャンスを作った。先制を許しながらも我慢を重ねて試合を“維持”し、最後に獲得したPKで同点弾を奪ってなんとか勝点1を手に入れた。未熟さと課題が浮き彫りになった試合ではあるが、“自分たちにできること”はより一層明確になった印象だ。それを相手にぶつけながら、未熟さや直面する課題の克服に取り組みたい。
一方、対峙する甲府は好調を維持している。
第16節ブラウブリッツ秋田戦から3連勝を記録すると、第18節で大分に敗れたものの、その後は3戦負けなしの1勝2分け。すなわち最近7試合の戦績を4勝2分1敗として着実に勝点を積み上げ、順位はJ1昇格プレーオフ出場圏内の6位にまで浮上した。
小林慶行監督が言う。
「(甲府は)ここ数試合のゲームを見ても、そこまで大きな変化はないのかなと思います。やはりショートカウンターや、奪ってからの速い攻撃。その中心にいるのは間違いなくウタカ選手で、クオリティーを考えるとやはり彼が中心になっています。ただ彼のプレーの特徴を考えたときには、全部が全部守備をするわけではないというところです。だからこそ一発の怖さがある選手なのですが」
先述した最近7試合はすべてスタメン出場で4得点。チームの好調を牽引するエースは39歳という年齢を感じさせないパワフルなパフォーマンスを見せている。計9得点はJ2リーグの得点ランキング5位。指揮官の言うとおり、特にボックス内の決定力は群を抜いている印象だ。
その他、攻撃陣には創造性のある長谷川元希、テクニシャンの鳥海芳樹、精度の高いクロスと突破力に加えて高さもあるジェトゥリオとタレントが揃っており、彼らが近い距離感で絡むショートカウンターは脅威だ。甲府は前節の対戦相手であるジュビロ磐田がルヴァンカップを戦うことによる日程調整のため今節を中2日という過密日程で行う。前線4人のメンバー変更も予想されるが、いずれにしても“一発”を持ったタレントが揃っていることは間違いない。
髙橋壱晟が言う。
「(甲府は)しぶとく粘り強い印象があります。ボールを持ち、前には強烈なフォワードがいるので、そこでのカウンターをディフェンスとしても気を付けなければいけないポイントだと思います。(対面選手とのマッチアップについては)自分が押し込むことができれば、より相手を困らせることができると思っています。(甲府は)攻撃が得意なことは分かっているので、守備にパワーを使わせたいと思っています」
高木俊幸も相手のクオリティーに対する警戒心を強調した。
「(甲府は)特徴がハッキリしているというか、前に特長のある選手がいて、そこを起点にカウンターを仕掛けてきます。相手の攻撃は主にそういうものになってくると思うし、仕留めるクオリティーの高さがあるので、自分たちはよりボールを持っているとき警戒しながら慎重にボールを持たないといけません」
J1昇格プレーオフ出場のラスト1枠である“6位”甲府との勝点差は「12」。直接対決でその差を縮め、可能性を広げたい。


J2第19節 06/04 vs 大分(A) 1○2
天皇杯2回戦 06/07 vs 長崎(A)1●0
J2第20節 06/11 vs 山口(H) 4●0
J2第21節 06/24 vs 岡山(H) 0△0
J2第22節 06/28 vs 磐田(A) 1△1
J2第19節 06/03 vs 町田(H) 0○2
天皇杯2回戦 06/07 vs 大宮(H)0○1
J2第20節 06/11 vs 水戸(A) 1○4
J2第21節 06/18 vs いわき(A) 0△0
J2第22節 06/24 vs 大分(A) 1△1
21/02/28 千葉 1-1 甲府
21/08/21 甲府 1-1 千葉
22/06/11 甲府 1-1 千葉
22/08/17 千葉 0-0 甲府
23/05/13 甲府 0-1 千葉
前半は非常にいいプレーができたと思います。自分たちが本当にやりたいことをやれたなと。その中で、依然として残っている課題としてはあれだけ多くのチャンスを作りながら得点が1で終わってしまったということ、あとは相手に先制点を与えて難しい試合にしてしまったことです。前半が終わった段階で自分たちが有利なスコアで折り返してきてもいいような内容だったと思うので、やはりそういうところが自分たちが突き詰めなければならないところだと思います。
後半は相手が変化してきた中で、自分たちがそのままのやり方でもしっかり対応していけるのか、もしくは自分たちが変化して相手に合わせていくのか。守備、攻撃においてそこが少し時間がかかってしまったと思います。それによって後半の入りから中盤までペースを持っていかれてしまったというところはありました。最終的には、夏場、熱くなってきた中で途中出場のメンバーがこうやって結果を残してくれるというのはチームとしてポジティブだったと思います。そういうゲームになったと思います。
―― 後半、相手がシステムを変更しました。
5バックに変えるという想定はしていませんでした、甲府の試合を見た中で後半の頭からそういう形にしたことはなかったので。なかなか想定しづらい変化でした。
―― 後半の中盤から押し返す展開になりました。
守備のところで前から引っ掛けたいという狙いがあったので、人への対応を明確にして行きやすくしたという形でした。
―― 新明選手が初ゴールを記録しました。チームにとって意義のあるゴールだったと思うのですが。
本当に、おっしゃられたとおり、もしくはそれ以上にと僕自身は感じています。アカデミー出身の選手が、1年目で、このホームゲームで得点をするということは、クラブにとってすごく大きなことだと思います。彼は間違いなくアカデミーの目標になっていますから、もっともっと憧れの存在として輝いてほしいと思います。他の若い選手たちに対してもすごく大きな刺激になったと思います。本当に大きなゴールでした。
―― PK失敗後の失点などがありながら、選手たちはメンタル的に強く、状況を跳ね返したと思います。そのあたりの成長をどう感じていますか?
今、本当に強く感じています。ゲーム後のミーティングでも伝えたんですが、トレーニングから空気が変わって、そこから張り詰めた雰囲気、ミスを許さない空気があって、僕自身はそういうことを歓迎していますし、一気に変えていこうというアクションを起こしてこの3週間やってきました。ハードワークやお互いへの厳しさ、自分への厳しさがピッチ上で表れているのかなと。先日の大分戦もすごく難しいゲームでしたが、失点をしても崩れることなく、最後の最後にああいう形で追いつくことができました。それもすごくポジティブですし、さらにその先という意味で今日は結果を持ってくることができたので、すごく大きな自信になると思います。今、ミーティングで「自分たちの目標はブレていない」ということを伝え、だからこそこの1勝でいつまでも喜んでいるわけにはいかないということを共有しました。